社会課題の解決を目指して活動している先駆者を招き、未来のありたい姿を考える勉強会“サステナビリティMeetup”が始まりました。第1回のゲストは、「Learning for All」の代表理事、李炯植(りひょんしぎ)さん。「さまざまな社会課題に向き合いたい」と願うベネッセ社員たちが集まりました。子どもを取り巻く困難や教育について、参加した社員が語る思いとは――。

■特定非営利活動法人「Learning for All」(以下、LFA)
困難をかかえた子どもたちへ、つながり・学びの環境・育まれる環境を整備する 包括的支援モデルを確立し、全国に展開すべく、 現在は学習支援と居場所支援事業を中心に活動中。これまでにのべ約7,000人以上の子どもを支援。代表の李さんは「全国子どもの貧困・教育支援団体協議会」幹事、Forbes JAPANの「世界を変える30歳未満の30人」に選ばれている。

社員たちの社会課題への関心を深める場

サステナビリティやSDGsの概念が生まれた背景には、さまざまな社会課題が存在しています。国内外において、教育や介護などの事業を展開するベネッセグループには、教育や福祉をはじめとする社会課題に対し、関心の高い社員が多くいました。それにこたえる形で始まった“サステナビリティ Meetup”。 2019年9月30日の夕刻、メイン会場である東京・多摩オフィスに加え、新宿・岡山の各オフィスからも、モニターを通し社員が参加する形で第1回のMeetupが始まりました。

当日の会場の様子。仕事を終え、担当業務も年齢も異なるさまざまな社員たちが、李さんを囲んで集まった。

経済的な問題だけではない、子どもたちを取り巻く複雑な状況にどう対応する?

Meet upの第一部は、ゲストの李さんより、貧困を背景にした教育格差の現状について実際のエピソードが語られました。今、日本では7人に1人の子どもが貧困状態にあると言われていますが、李さんが代表理事を務めるLFAは『子どもの貧困に、本質的解決を。』をミッションに、多くの子どもたちを支援した経験から、
「子どもたちが抱える困難は経済的基盤がないことだけではありません。家庭や学校に安心できる居場所がない、そもそも基本的な生活習慣を身につけるための環境がないなど、複雑な状況を解きほぐす支援が必要です」
「日本では、奨学金制度のように、学び始めた子どもへの支援は整備されつつある一方で、学びを始める状況に至っていない子どもがたくさんいます。その子に寄り添いながら、家族を含めた子どもを取り巻く環境をよりよくしていく支援が大切だと考えています」と話す李さん。
会場に集まった社員はメモを取りながら熱心に聞き入っていました。

自身の経験も踏まえ、明快でわかりやすい話に社員も笑顔でうなずく姿が多く見られた。会場にはベネッセホールディングス安達社長も参加し、質問を投げかけるシーンも。

第二部は、社員から李さんへの質疑応答の時間。「挫折や失敗体験などで学びの意欲を喪失した子どもの気持ちを変えるには?」「子どもだけでなく、保護者の支援も必要な場合は?」「さまざまな団体・企業との連携が必要だと思う」などの質問や意見があがりました。

終了後、李さんからは「教育や子どもに携わっている社員が多いということで、現場を知っていて、オペレーションに関わるような具体的な質問が印象的でした。改めて、自分たちの行っている事業とベネッセの事業に親和性があると感じました」との感想が述べられました。

次々と寄せられる質問に回答する李さん、終了後も対話が続き、あっという間に時間が流れた。

生まれ育つ環境によらず、子どもたちみんなの「よく生きる」をサポートしたい

勉強会を終え、参加した社員からは、さまざまな学びが得られたとの声が聞かれました。

「LFAの活動は、根幹に『子どもの貧困に、本質的解決を。』というミッションがブレなくあります
。それが事業や行動にも矛盾なくつながる強さを感じました。子どもたちが生まれた環境に左右されることなくやりたいことを見つけ、挑戦することが当たり前に許される世界にしていきたい」(グローバル事業担当・菊池麻衣)

「現代の日本は、急激に多様化が進む一方、相対的な貧困や格差の問題を抱える子が、見えにくい形でたくさん存在することが大きな問題。本人だけでは解決できないこの問題の本質を、まわりにいる人々が知ること、気づくことが必要。すべての人に対し『Benesse=よく生きる』を提供するという企業理念をもつ私たちだからこそ、社会課題に対する感度を高め、子どもたちをサポートしていきたいと思います」(教育研究担当・松隈啓子)

「大人に代わって家族の介護・家事を担うヤングケアラーの問題など、子どもたちの学びの機会を奪う課題はほかにもありますが、『始めたい』と思ったときに、手軽に小さなことから始められる仕組みが必要だと思いました。SDGsのコンセプトである“誰一人置き去りにしない”の実現に向けて、ベネッセだからこそできる貢献のありかたを考えていきたい」(小学生事業担当・西村裕子)

子どもたちが希望をもって未来を力強く歩むために何が必要か。日頃から考えていた課題について、先駆者とともに語りあった勉強会。一人ひとりが社会課題について改めて考える機会となりました。

今後も、ベネッセでは、さまざまな社会課題に取り組む先駆者と語りあう“サステナビリティMeet up”を開催。社員自らが考え、企業理念である「Benesse=よく生きる」を社会へと拡げる活動に取り組んでいきます。
*“サステナビリティMeet up”の活動について、今後も当サイトでご紹介していきます。

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