日本における犬、猫の飼育頭数は、今や15歳未満の子どもの人口を大きく超える規模となりました(※1)。時代が大きく変化する中で、犬、猫との関係性も変わり、飼い方や意識も変化しています。これからは、人と、犬、猫とが、いかに幸せに「共生」をしていけるか――少子高齢化が進む日本において大切なテーマの1つです。
昨今、コロナ禍で新たに犬、猫を飼い始める人が増える中(※2)、ベネッセコーポレーションの「いぬ・ねこのきもちWEB MAGAZINE」は、犬、猫の「飼育実態」と飼い主の「生活&意識変容」について調査を実施。『犬猫との暮らし調査2021』としてその発信を行っています。こうした調査発信を行う背景や思いについて担当者に聞きました。

※1:犬、猫の推計飼育頭数は全国合計で約1813万3千頭(一般社団法人ペットフード協会「令和2年全国犬猫飼育実態調査」)、一方で15歳未満の子どもは約1512万人(総務省「人口推計」2020年) より
※2:2020年の新規飼育者の対前年UP率は犬114%、猫116%(一般社団法人ペットフード協会「令和2年全国犬猫飼育実態調査」より

犬、猫と飼い主の「今」を捉えるための調査

愛犬・愛猫と飼い主のために犬、猫の生態や習性、飼い方などさまざまな情報を発信しているWEBメディア「いぬ・ねこのきもちWEB MAGAZINE」が、犬、猫と飼い主の「今」を捉え、実態や変化を読み取るために実施しているのが『犬猫との暮らし調査2021』です。

第1回では「飼い主の実態調査」、第2回では終生飼育の視点を踏まえた「飼育・生活意識」についてインターネットによるアンケート調査を実施。コロナ禍以降「おうち時間」が増えたことも一因となり、新たに犬、猫を飼い始める人が増えている中、犬、猫を飼う上での意識や、迎え入れ前後の変化などの調査結果を「いぬ・ねこのきもちWEB MAGAZINE」で発信しています。

時代とともに飼い方や意識が変わり、犬、猫は「家族の一員」

「犬猫との暮らし調査2021」(いぬ・ねこのきもち WEB MAGAZINE)第1回の結果より

第1回の調査では、犬、猫を飼ったことで「生活に癒しや安らぎが生まれる」と答えた人が9割となり、「生活にメリハリや活気が生まれる」など、さまざまなプラスの影響を感じる人が多いことがわかります。調査を担当した水野 恩(「いぬのきもちWEB MAGAZINE」編集長)、と有田 千歳(「ねこのきもちWEB MAGAZINE」編集長)は、時代とともに飼い方や意識の変化が見られるといいます。

「犬は、かつて玄関先や屋外で飼われていたり、防犯目的で飼われていたりした時代を経て、今では人と一緒に主に室内で暮らし、より親密な関係を築く“コンパニオン・アニマル”という存在に変化しています。今回の調査結果にもあるように、愛犬は飼い主さんにとって、家族の一員として「なくてはならない存在」であることを再認識しました。」(水野)

「猫の飼い主さんは保護活動に対しての意識が高い方が多いのが特徴的です。また、猫の本来の習性により散歩をさせる必要がないなどの理由から、迎え入れの検討をしているケースもあるようです。その一方で、猫を保護した・拾ったなどの理由で、ある日突然猫を迎え入れるケースもあります。第2回の調査では、飼い主の4人に1人が保護猫を迎え入れていたことがわかりました。でも、どんな迎え入れ方であっても、“猫に寄り添い、家族になろうとしている”方が多いことが素敵だなと思いました」(有田)

正しい情報を得て、家族として暮らしていく日々の積み重ねが終生飼育に

「迎え入れる前に特に考えたこと」で一番多かった回答は犬・猫の飼い主ともに「最期まで責任をもって飼育できるか」でした(第2回調査/犬の飼い主の約89.6%、猫の飼い主の約85.6%)。人と共に、犬猫の高齢化も進む中で、犬、猫と最期まで一緒に過ごすためには、どんなことが必要なのでしょうか。

「迎え入れの理由として「自宅で過ごす時間が長くなり、お世話できる環境になった」「引越しをして愛犬・愛猫を迎えられる住環境を整えた」「子どもが大きくなり、経済的余裕ができた」など、様々な準備をし、満を持して迎え入れた方の声が数多く聞かれました。一方で、迎え入れた後に「自分が高齢になった時のお世話が不安」「自分が病気になったら愛犬のお世話はどうしよう?」など、具体的な課題について真剣に考える人が増えていたこともわかりました」(水野)

『犬猫との暮らし調査2021』(いぬ・ねこのきもち WEB MAGAZINE)第2回の結果より。「愛犬」迎え入れ前後での意識変化では、迎え入れた後に、高齢になった時のお世話や、一時的にお世話を頼める人がいるか、そして長期的に飼えなくなった場合のことなど、長い視点での具体的な課題について考える人が増加していた。

「調査を通して、飼い主さんにとって愛犬・愛猫は「かけがえのない存在」、「本当に大切で愛おしい」という声が数多く聞かれ、みなさんが愛情と責任感を持って一緒に暮らしていることを感じました。愛犬と暮らす上での課題は多いと思いますが、家族の一員として一つひとつに向き合い考えていくことが大切なのだと思います。そのためにも犬の習性や育て方などの正しい情報を知っていただくことが大事です。それが犬にとって過ごしやすい環境や、安心できる幸せな生活につながっていく、その一助となりたいと考えています。最近飼い始めた方だけではなく、ベテラン飼い主さんにも、そして、「これから犬を飼ってみたい」と思っている方にも情報をお届けできるのがWEBメディアの強みです。これからも、犬と人が幸せに暮らす生活のすばらしさをお伝えするとともに、疑問や不安に寄り添っていきたいと思います」(水野)

「猫と一緒に暮らし始めたことで「生活に彩りが増えた」という声や、「猫って本当に可愛い!」という声がとても多かったことも、今回の調査で強く印象に残りました。飼い主さんはみな本当に愛おしいと思いながら猫と過ごしている。こうした「家族の一員」という意識が一番大切なことではないかと思います。だからといって、例えば自分の子ども(人間)と同じことをしていいわけでもありません。猫独自の生態や習性を知った上で、猫に関する正しい知識や情報を取り入れながら、一緒に家族として暮らしていくこと。その繰り返しが終生飼育につながっていくのだと思います。猫にも、うれしい、好き、嫌いなど気持ちがあり、言葉として発しなくても、しぐさや、行動で伝えているのです。そんな猫の気持ちを飼い主さんが正しく理解し、幸せを感じながら、猫と家族になる。私たちはその一助になれるよう情報を届けていきたいです。それによって一層猫のことが好きになり、より深い絆で結ばれた家族になる、そんな姿を思い描いています」(有田)

「いぬ・ねこのきもち」が掲げるブランドスローガン『Support Animal Emotions』。

「目指したいことは、「いぬのきもち」、「ねこのきもち」が掲げる『Support Animal Emotions』のスローガンそのものです。犬、猫の気持ちに寄り添いながら、人とのより良い“共生”をサポートできる存在でありたい。そのために、日々発信するコンテンツも厳選をしながら必要な情報をお届けします」(有田)

時代がかわりゆく中で、この社会で共に暮らす犬、猫との豊かな共生のために。これからも「いぬ・ねこのきもちWEB MAGAZINE」は情報発信を続けていきます。

情報協力

水野 恩

水野 恩
株式会社ベネッセコーポレーション
いぬのきもちWEB MAGAZINE編集長
生活情報誌の編集、出産・育児系雑誌、通販の編集・マーケティング等を経て20年より現職。

犬との暮らし調査2021 https://dog.benesse.ne.jp/tags/?id=3502
いぬのきもちWEBMAGAZINE https://dog.benesse.ne.jp/

有田 千歳

有田 千歳
株式会社ベネッセコーポレーション
ねこのきもちWEB MAGAZINE 編集長
学校向けの企画提案や情報誌の編集、ハンドメイド系雑誌・雑誌「いぬ・ねこのきもち」のマーケティング等を経て18年より現職。

猫との暮らし調査2021 https://cat.benesse.ne.jp/tags/?id=3503
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