ベネッセコーポレーションは2020年3月、「ベネッセSTEAMフェスタ2020」を開催しました。このイベントは、中高生が実社会の課題解決につながる研究や取り組みを発表し、社会人や大学・企業などの専門家も加わり意見交換するというもの。当初、会場に集合しての開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、急きょオンラインで実施することに。初の試みでしたが、対面では体験できないフラットなコミュニケーションの場となり、世代や立場、専門分野を越えた活気あふれる学び合いが実現しました。

「STEAM教育」が目指すのは、テクノロジー進化のさらに次の時代を創る人材の育成

STEAM (スティーム)教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(設計・ものづくり)、Art(芸術)、Mathematics(数学や応用数学)の5つの分野の頭文字をとった教育の考え方です。AIをはじめ、テクノロジーが進化したさらに次の時代を創造する子どもたちを育てることを目的としています。米国など海外では取り組みが本格化しており、日本でも新しい学習指導要領で、この方針を取り入れた学びが重視されています。ベネッセコーポレーションでは多くの学校とともに、このSTEAM教育の実践に取り組んでいます。

今回の「ベネッセSTEAMフェスタ2020」は、ネット上のコミュニティという特徴を活かしたプレゼンテーション、ワークショップを組み合わせることで、単なる発表・表彰の場ではなく、生徒が学びを深化・発展させる場を創ることを目指しました。中高生チームからの発表作品を事前にネット上に登録し、参加者が閲覧してコメントできる仕組みもその一つ。中高生や社会人識者たちが質問やコメントを次々に記入し、フェスタ当日に発表するチームが選出されました。

事前のコメント画面の一例。オンラインならではの意見交換で、当日への期待も高まった。

当日は、エントリーした9校・38名の中高生をはじめとする50名余りの参加者をオンラインでつなぎスタート。開会宣言に続き、6チームのプレゼンテーションが行われました。

発表のなかには、フードロスに着目しハワイでのフィールドワークまで行ったチームや、コーヒー豆の輸入販売でタイの少数民族を助ける活動を実践するチームもあり、サステナビリティへの関心の高さも伺われました。画面上では、発表中にも参加者からの質疑応答が飛び交い、対面では拾い切れないようなコミュニケーションがどんどん展開していきました。専門家や大学教授、企業人からは視点の面白さや専門知識のレベルに驚く声もあり、アドバイスと、「どんどん視野を広げ、勉強していってほしい」という期待が寄せられました。

「(IoTしおり) IoTしおりで読書習慣改善!」のプレゼンテーション画面。視聴する参加者の表情も見られる。

オンラインだから、ふつうには会えない専門家や企業人の「生の意見」が聞けた!

「初の試みでどうなるかと思っていましたが、予想以上に盛り上がり、時間が足りないくらいでした」(フェスタ事務局)の言葉どおり、閉会後に感想を語る生徒たちの声は明るく弾んでいました。

「オンラインだから顔は直接合わせないのですが、だからこそ参加した人もいるのではないでしょうか。緊張せずに発表できて、自分には向いている方法だと思いました」(西武学園文理高等学校 Sさん)

「年齢層も専門にしていることも違う人たちに、自分のやりたいことを発表できてよかったです。良い意見をもらえました。学校だけではできないし、道行く人に聞くわけにもいかないし…と思っていましたが、こういうイベントに参加して、次に生かせることを学び合えるのはいいですね!」(三田国際学園高等学校 Yさん)

オンラインで感想を寄せてくれた参加者のみなさん。

中高生に多様な世代・様々な領域の人とフラットに学び合える場を提供。そこから社会を揺さぶる「新しい何か」に挑戦してほしい

事務局リーダーの小村俊平(こむら しゅんぺい)は最後に、中高生はじめ参加者に向けてこう語りました。

「ベネッセSTEAMフェスタは、三つの場づくりをめざしてデザインされています。第一に、中高生と社会人、学習者と専門家など、多様な人がフラットに参加する場であり、中高生だけでなく、参加者全員が学ぶ場です。第二に、アカデミック、ソーシャル、メーカーズの各分野が交流し、新しい価値を生み出す場です。第三に、『学んだ結果に対する報酬』ではなく、『各自の実践や研究を発展させるための機会』を得られる場です。
今回オンラインの交流を加えることで、フェスタが大切にしていることが、より深く実現できる可能性を感じることができました。参加いただいた中高生の皆さんにお伝えしたいのは、早熟の天才にならないでほしいということです。いつか誰もができることを少し早くやる人にならないでほしい。すぐには理解されず、賛否両論を巻き起こすかもしれないが、社会をゆさぶる新しい何か、そんな何かに挑戦していきましょう。フェスタはそんな挑戦者が集まり、大きなうねりを生み出していく場です。」

学び合いにオンラインを活用するのはとてもなじみのよい手段だと確信した会でしたが、次は「みんなが集まるリアルな場とオンラインをどう融合させるかに挑戦したい」(小村)とのこと。社会を揺さぶる“新しい何か”を生み出す人材育成の場は、さらに深化を続けていきます。

※2020年8月23日(日)に次回「ベネッセSTEAMフェスタ2020 夏」を予定。6月から数回の意見交換の機会を持ち、発表内容をブラッシュアップして当日を迎えます。

事務局メンバー(ベネッセグループ社員)も密接を避けた環境で、オンライン上のコミュニケーションをサポートした。

情報・取材協力

・事務局:ベネッセコーポレーション 教育イノベーション事業開発室/BC事業開発部