今やほとんどの人が知る言葉となったSDGs(持続可能な開発目標)。しかし、その目標年度である2030年まで残り5年となる中で、課題への取り組みは遅れ、国連は世界各国に取り組みの加速を強く求めています。一方で、学校教育などを通じ、幼い頃からSDGsに関する言葉や知識に触れ、環境問題や社会課題に関心が高いとされるのがSDGsネイティブともいわれる若者や子どもたちです。

そんな「SDGsネイティブ」の子どもたちに対し、進研ゼミ『小学講座』では会員を対象とする特設Webサイトを通じて、子どもたちの大好きな「ナゾ解き」からSDGsを楽しく学べるコーナーを提供しています。教科の枠を超えた学びを通して、好奇心を引き出す数々のコンテンツを提供する裏にある思いに迫ります。

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SDGsネイティブの子どもたちが鍵となるこれからの社会で

2015年の国連サミットで採択され、2030年までに持続可能な社会の実現を目指して掲げられた世界の目標SDGs。日本でその認知は年々高まり、2023年に行われた調査(※1)では「SDGsを知っている人」の割合がついに9割を超え、一般的に知られる言葉となりました。「内容まで含めて知っている」人はその半数の約4割にとどまるものの、年代別に見ていくと10代のスコアが突出して高いことがわかります。幼い頃からSDGsの知識に触れ、社会への興味関心が高い若者や子どもたち。次の時代を創る上でカギを握る彼らの存在感が、今後増していくことは言うまでもありません。

※1「電通Team SDGs」による第6回「SDGsに関する生活者調査」(10~70代の男女計1400名回答)より

子どもたちの好奇心に寄り添い、楽しく学びながらアウトプットまで導く情報を届ける

既存の枠にとらわれることなく自由な発想で問題に向き合い、未来を切り拓いていくことが期待される子どもたちに対し、進研ゼミ『小学講座』では、算数や国語など教科の枠を超えて知的好奇心を刺激するさまざまなコンテンツを提供しています。その一つが「未来をつくるSDGsナゾ解き」です。

「進研ゼミ」が小1から小6までの会員向けに特設Webサイトで提供している「未来をつくるSDGsナゾ解き」。
環境破壊が進む世界でロボットと一緒に船で島を訪れ、課題を解決するためのナゾ解きクエストに挑戦。SDGsについて楽しく学びながら、未来の世界に目を向け考えることができるような内容となっている。

この「未来をつくるSDGsナゾ解き」をはじめとする、多様な教科外情報を届けるチームを率いているのが朝野 豊(ベネッセコーポレーション 小学生商品開発部)です。

「教科外情報という名前の通り、教科の枠を超えたワクワクする学びを通して、次世代を担う子どもたちが元々もっている好奇心に寄り添う。そうして、人生の礎となる“小学生時代をいかに楽しく過ごせる居場所をつくれるか”を大切に活動していて、このナゾ解きもその一つです。SDGsが小学生にも広がりつつあった3年前から、「進研ゼミ」としてきちんとSDGsが学べるような情報を届けたい、ということで企画がスタート。自分たちだけの視点ではなく、さまざまな企業とも共創して、みんなで世の中をよりよくするためのヒントとなる情報を提供し、楽しく学びながら一人ひとりができることを考え、アウトプットまでつなげられるようなコンテンツを届けています」

(左)一方的な情報のインプットだけで終わらないよう、それぞれができることを考え自分なりの「SDGsせんげん」をする工夫も。 (右)企業や自治体と連携した共創コンテンツも特長の一つで、SDGsに関連する環境問題などの知識にふれ、自分ゴト化につなげる情報も届けている。画像は東京都と連携して届けているHTTアクション(電力を(H)へらす(T)つくる(T)(ためる)ための脱炭素化に向けた活動)の情報ページ。

ワクワクや夢中になる瞬間という何にも勝る学びの体験を増やして、人生に彩りを

元々は小学生を対象とする特定の学年を対象とした教科学習の教材編集からキャリアをスタートし、異学齢の子どもたちが放課後を過ごす学童クラブの事業運営を経験した後、「学年や教科に捉われず、よりよい人生を送るための原体験となるようなワクワクや夢中の瞬間を全国の子どもたちに届けたい」と手を挙げてこの仕事に携わっているという朝野に、「進研ゼミ」が送り出すSDGsや教科外の学びとして大切にしていること。今後目指していきたいことを聞いてみました。

「例えばSDGsであれば17のゴールがありますが、「貧困をなくそう」という課題と「働きがいも経済成長も」の課題は関連しているなど、ぶつ切りの学びにならないように。ナゾ解きなど大好きなものを媒介としながら、“つながる学び”になることを意識しています。「拡散的好奇心(新しい情報を幅広く求める好奇心)」「特殊的好奇心(特定の情報を掘り下げる好奇心)」ともいわれますが、1つのことへの興味を入り口に他のことにもどんどんと好奇心が広がっていったり、深めていったりする繰り返しの中で人は学び・成長していく。その最初の段階にいる小学生時代にはとにかく好きなことへの出会いをたくさん体験してほしい。そして、ワクワクや夢中になる瞬間という何にも勝る学びの母数をまずは増やしていきたいと考えています」

「そうした体験が、その先の進路や方向性を決めるときに「自分はこういうことが好きだったな」という、とっかかりになることも大いにあります。そして、生きていれば時には苦しくなったり臆したりすることもありますが、そんな時にでも「わからないからやめよう」ではなくて、新しいことに「とにかくやってみよう」という前向きな意欲をもつためにも。子ども時代のワクワクの原体験があるかで、人生の彩りはきっと変わってくると思うからです」

「これから力を入れたいと思っているのは、勉強が好きになる時って、コンテンツの中身はもちろん重要ですが、この人が教えてくれるから勉強が好きになった、という要素も実は大きいんじゃないかと。なので、教材を送り出す編集室やキャラクター、先生がより身近に感じられるような機会をもっと創り出していきたいと考えています。これからも、あの手この手でしかけながら、子どもたちにワクワクや夢中の瞬間を届けていきたいですね」

「進研ゼミ」の編集部員も登場しながら、「チャレンジタッチ」のヒミツや小学生生活・将来に関する情報を届ける『情報発信局』では、「アサノ」として登場。自ら体を張って情報を届けている。左:170mに巨大化したシーン、右:切断した電気ケーブルを、感電しながらつなぐというイメージシーン。

変化の大きい時代に、正解のない問題に向き合っていく子どもたちの原動力となるワクワクや夢中の瞬間をたくさん生み出すために。「進研ゼミ」らしい、型にはまらない教科外の学び情報の探求にこれからも目が離せません。

情報協力

朝野 豊

ベネッセコーポレーション 小学生商品開発部 2003年ベネッセコーポレーションに新卒入社。教科編集やDM企画・マーケティングを経験した後、学童事業の運営を経て、現職。プライベートでは、親子コンビ「ユタカwithオカン」(以下コンビ写真)としても活動中。