教育のオンライン化が進む日本で、子どもたちに学びの面白さをどう伝えるか?を追求しながら、<進研ゼミ>のデジタル化を開拓してきた社員がいます。これまで数々のデジタル教材やコンテンツを世に送り出してきた、空閑彩子に聞きました。

ベネッセコーポレーション 小学生低学年事業部 空閑 彩子(くが あやこ)

就職氷河期に、新聞の求人広告を見て応募し、第2新卒枠で入社。<進研ゼミ>の教材編集や物流基盤担当を経て、会員向けウェブサイトのリニューアル、「チャレンジタッチ」などデジタル教具の開発を経験。2度の出産・育児休暇を経て、現在は<進研ゼミ>小学講座の全学年のデジタル教材制作や運用サポートに携わっている。

子どもたちに「わかった!」という学びの面白さをどう体験してもらうかを追求し続けてきた

元々ゲームが大好きで、就職するならゲーム会社か教育系がいいなと思っていました。「子どもってゲームだといろいろ覚えられるのに、勉強だとなんでできないんだろう?楽しく勉強できる方法があればいいな」と思っていたところ、新聞の求人広告をきっかけにベネッセに入社しました。

入社後、<進研ゼミ>の教材編集の基礎を学んだ後、国語や算数などのいわゆる主要教科以外の学びとして、「知的好奇心」というジャンルでの学び開発に携わりました。そこで感じたのが小学生ってものすごく面白い、ということ。小学生が書く感想文はとにかく純粋。素直に「わかった!」「楽しい!」と反応してくれることに驚きました。子どもたちにこの「わかった!」という学びの面白さをいかに体験してもらうか、をこれまでの仕事で追求し続けてきたと思います。

その後、コンテンツ制作に関わるさまざまな部署を経験。物流や基盤などを学んだ後に、会員向けウェブサイト「チャレンジランド」(現在は「チャレンジウェブ」)や、「チャレンジタッチ」というデジタル教具の開発など、<進研ゼミ>のさまざまなデジタル化を開拓しました。デジタル化は新しいことだらけ。大変なプロジェクトもありましたが、自分から助けを求めるタイプではないものの、「サトラレ」と呼ばれるほど喜怒哀楽の感情が顔に出やすいので、ピンチの時は周囲が察知して助けてくれることが多く、感謝しています。


コロナ禍では「子どものために」本気で向き合う社員たちと、休校対応のコンテンツを制作

直近では、コロナ禍の休校対応で数週間という超短期間でウェブコンテンツをたくさん作りました。過去に経験したどのプロジェクトよりも早いスピードで「限界かも」と思いましたが、「これを作れば不安は解消されるだろうな。なんとしてでもベストの状態で実現したい!」という思いで、必死でした。教材のカリキュラム作りとウェブサイト設計という両方での経験知を活かし、最良の構造設計になるよう、いろんな担当者と連携しました。

元々どの社員も、「子どものために」真剣な人たちばかり。今回改めて、全員が「いかに子どもたちのためになるものができるか」にどれほど本気か、を実感しました。本当に困った時に役立つコンテンツを届けられたことを、心からうれしく思います。

コロナ禍での対応として公開した「べんきょうにこまったときにみるコーナー」(<進研ゼミ>小学講座会員サイト内で公開)。全学年全コースのカリキュラム表、教材動画、質問ページを新設。会員が迷わないよう、コース・進度に対応したコンテンツとなるよう設計を工夫した。

子どもたちに、ゲームのように夢中になれる教材を作るのが夢

プライベートでは、基本的にロールプレイングゲームやシミュレーションゲーム、推理物が好きで、中学校の時からずっと絶え間なく何らかのゲームを攻略し続けています。とはいえ、ここ5年くらいは育児でゲームができなかったのですが、最近はまたプレイするようになりました。「ゲームのように夢中になれる教材を作る」のが夢です。

「ゲーム」以外に「日本の古代遺跡」も大好きという空閑。結婚式も、日本の古代神話で有名な、宮崎県の高千穂神社で古代風の装束で行った。子どもが生まれてからも、近所の古墳や縄文時代の遺跡、静岡の登呂遺跡などを見に行っている。

私にとって「よく生きる」とは、自分自身を肯定し、自分で思ったように満足して生きていくこと。世の中には、辛い状況や苦しい経済環境に置かれた方もいますが、すべての人に直接何かできるわけではありません。人間はどうやったら辛い状況から這い上がれるのだろうと考えると、教育がひとつの打開策になるのではないか、そう考えています。

私自身、中高生時代は経済的に大変でしたが、新聞は読み続けていました。頑張ることができたのは、知識や学びが原動力になっていたからだと思います。教育の仕事に携わることで、そうした影響を少しでも与えられるような教材やサービスを、これからも作り、届けていきたいと思います。

※本記事は、ベネッセグループ社内サイトに掲載された「Benesse Mind」(2020年7月号)の記事を元に再構成したもので、所属・写真は取材時のものです。