CASE STUDY

コーポレート機能のDXを推進。社内業務の生産性を高め、経営基盤を強化する

ベネッセグループは、コーポレート機能のDXを今年度から段階的に進めようとしている。部門最適から全体最適へ、各所に構築した業務システムを見直し、さらに業務プロセス再編なども加えダイナミックに革新していく。それによってコーポレート機能の全体最適化を進め、ひいては共創を生む企業風土の構築を目指す。「内からの企業革新」ともいえるこのプロジェクトを進めるコーポレートDX推進部の責任者に、その構想を聞いた。

青木 孝修

Digital Innovation Partners コーポレートDX推進部 部長

2002年にシンフォーム(ベネッセインフォシェルの前身)に入社し、英語デジタル教材「BE-GO」の会員サイトの開発やWebアンケート基盤の開発を担当。ベネッセコーポレーションに出向し、システムの開発標準の策定、SOAオープンアーキテクチャによる販売管理システム開発などに従事。現在はベネッセホールディングスに出向し、ITガバナンスの推進やグループ各社のシステム開発支援などを行う。

ISSUE(課題)

人事、総務、法務、SCMなどの各部門でDXを推進

現在、コーポレート部門で使っているシステムは、2000年代からオンプレミスによる密結合により各部門で構築され、さらに要件追加に合わせ開発を重ねてきたものです。そのため、社内ルールやプロセスの変化に機能が追いついていなかったり、またUI/UXが採用したパッケージの独自仕様となっていました。そのため社員の皆様が使う勤怠や経費清算などの申請はツールに依存しており、利用者に分かりにくいなど、個別最適を目指したならではの課題がありました。
私たちにはグループの社内提案制度「B-STAGE」があり、そこでコーポレート部門や利用部門の方々がイントラの使い勝手が悪いと課題として取り上げられました。

SOLUTION(ソリューション)

システムや業務プロセスの社内横断・最適化を推進する

コーポレート部門の課題についてSaaSなど最新テクノロジーをはじめ、業務プロセスの再設計などを行い、社内横断で全体最適化を進めることを目指しています。

すでに一部のシステムを使った変革に着手していますが、本格的な活動は、2021年度からとなります。今は、B-STAGEのコーポレート変革チームの皆さんと2021年度から始まるプロジェクトをどのように進めるか計画を練っているところになります。B-STAGEのコーポレート変革チームの皆さんと連携し、利用者=社員の皆様の意見を聞きながら、さらにコーポレート部門のDXの方向性を確認しつつ、進めていくことが基本方針です。

RESULT(結果)

社員相互の理解・共感・共創を促したい

ITに関すること全般を担っていた従来の情報システム部から、IT部門の再編により私たちの部門は、コーポレート部門のシステム開発・運用のほかに、カンパニー共通で使うシステム開発・運用の担当となりました。コーポレート部門には人事、総務、法務、SCM(サプライチェーン・マネジメント)などがありますが、社員の皆様が実施される各コーポレート部門に対して行う申請・相談などの業務から続いて実施されるコーポレート部門内の業務をデジタルの力を使ってBPR(業務改革)をしながら変革していく、それが「コーポレート機能のDX」にあたります。

イントラサイトのSaaS化は、ボトムアップによる社内改革の一例ともいえます。現場でまとめた課題を、私たちが新しいソリューションを活用し、BPRをしながら適用させる。このやり方はコーポレート機能DXの、ひとつのスタイルになりそうです。

こうした改革をコーポレート各部門横断で展開し、社員それぞれの生産性向上だけでなく、お互いの理解度や共感度を向上し、組織を越えた共創を促すような環境をグループ内に実現できればいいと考えています。現在、このプロジェクトは準備段階で、本格始動は2022年度からを予定しています。本当の“勝負”はこれからだと思っています。

PERSPECTIVE

PERSPECTIVE

PERSPECTIVE

PERSPECTIVE

企業理念「よく生きる」をどのように具現化したいと考えていますか?

システムは構築にコストがかかり、またいったん使い始めると稼働は長期間におよびます。いま、ITシステム導入からある程度の年月が経ち、EOL(End of Life:保守中止)が各部門での大きなテーマのひとつになっていますが、単に更新するだけは意味がない。これからの時代を見据え、どうすればさらに使う人のためになるのか。ユーザーの立場や気持ちに寄り添い、“ひと手間”を加えることで、そのシステムはより価値を持ち、さらに長期間使い続けることができるようになるかもしれません。
社員一人ひとりが今後も「よく生きる」ために、そういうシステムを提供していきたいと考えています。

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