CASE STUDY

組織全体のDX組織の充足に向けて育成・採用の仕組みを構築。社員自身の意欲向上と挑戦を促す

組織のDX推進の一番の要は人財だ。ベネッセコーポレーションの人財育成と採用の責任者であるDX人財開発部長の後藤礼子に、DX人財開発のために行っている施策の数々について話を聞いた。研修から人事制度、社内制度の新設まで、話は多岐にわたった。

後藤 礼子

Digital Innovation Partners DX人財開発部 部長

教育学部から新卒入社し、創業の地である岡山に配属され、赤ペンサービス部門からキャリアをスタート。転職後、ベネッセに再入社。現在はDX人財開発部長として、組織のDX能力の向上、主に人財育成・採用を担う。

ISSUE(課題)

ベネッセのDX能力の向上に人財育成と採用の両面から挑む

ベネッセは「自ら学ぶ力」の大切さを商品・サービスに込めており、提供する社員自身も「学びのプロ」でありたいと、学び続けることに意欲的な人が多い傾向にあります。しかしそんな意欲的な人であってすら、どこに向かって何から学んだらよいかはとまどい悩むものです。そのため、私たちはリスキリングを個人の努力だけにゆだねるのではなく、組織全体で取り組むようにしています。熟練の人であっても、よりハイレベルなスキルや新しい知見を学ぶうえで、刺激しあえる環境があるほうが学びは促進されると考えています。

SOLUTION(ソリューション)

横断的な取り組みでスキルの見える化から研修、人事制度、休暇までDXに本気で取り組む組織を作り上げる

まず自分の現在地点を知ることから始めるという意味で、管理職も含む社員全員にアセスメント(現状評価)を提供しています。部門全体でスキルレベルの到達度を把握し、どのレベルをどのくらい増やすのか、そこに向かって研修だけでなく仕事のアサインメントを調整し、育成の計画・目標を定めながら組織力向上に取り組んでいます。また人事制度やしくみも変更しているところです。専門性を評価するエキスパート制度を改変し、エキスパート職のキャリアトラックを拡充しました。個人の専門性を評価・処遇することに留まらず、専門力を持つ人財がリーダーシップを発揮し、横連携を強めて全体のスキルアップに貢献することを期待しています。

こうした取り組みを重ねることで、ベネッセらしいラーニングカルチャーを築くことを目指しています。はたらく・まなぶ・キャリアを自律的に行動するためのパフォーマンスマネジメント&ラーニングシステムを整備し、全社員がUdemyを活用しています。さらに2022年4月からは、集中して学習時間を確保できるよう「リスキル休暇」制度を開始します。会社から求められることだけでなく、自分なりの目標をもってスキルを獲得するために有効活用してもらえればと思います。

学びにはインプット中心の座学だけでなく、実際に仕事につきアウトプットする経験も必要です。ベネッセには公募のしくみがありますが、「DXチャレンジ」と銘打ち、未経験でも公募に応募し職務につくことをチャレンジする機会を設けています。

RESULT(結果)

組織的な活動としてリスキリングに取り組み、組織知へ

人財育成では、事業計画に伴ってどのような力がどれくらい必要になるか、組織の状態や目指すところを見える化し、組織的な活動としてリスキリングを推進しています。ベネッセではDX人財の職種を6職種に分類し、職務要件・スキルレベルを定めています。これに沿ってスキルマップを整え、研修プログラムをひもづけて、当社提携の学習プラットフォーム「Udemy」を含む学習体系の整備を進めています。またプログラムも現場ニーズにマッチした実践的な学びにこだわっており、社内実例を素材とした社内講師による研修は好評です。職種によっては、社内インターン型の研修にも取り組んでいます。

DX人財開発の取り組みは、まだ発展途上で成果や評価をするのはこれからだと思っています。ただ取り組みの結果、目指すべきことが明確になり、それが共有されて組織知になってきた手応えを感じています。

また、DX人財の採用も積極的に行っています。近年では新卒採用数よりも中途採用数が上回り、中でもDX領域の採用は年々増加しています。元々教育業界に興味をお持ちだった方だけでなく、お客さまの課題解決をファーストに取り組んでいる当社の理念や、ものづくりのスタンスへの共感、顧客との距離が近いことに魅力を感じる、といった理由で入社を決めていただいております。

グループ全体のDX推進を支援するDXコンサルティング部門でも積極的に採用を行っていますが、コンサルティング業務を通じてベネッセグループのことを幅広く知っていただいてからご自身がコミットしたい事業・サービス部門へ異動いただくようなキャリアステップも生み出そうとしています。

組織のデジタルスキルの獲得のために、人財開発や採用を進めていますが、人が育つには時間がかかり、採用は簡単には進みません。試行錯誤は続いていますが成功のポイントも見えてきていると思っています。

DIPが主導するDX戦略のテーマとして「DX人財開発」が組み込まれていることで、個別の取り組みがバラバラに作用するのではなく統合的な動きとなり、クリティカルマスを超えて成果が出てくるものだと感じています。

そもそもDXを進める目的は、顧客ニーズに応え新たな価値を創るためですが、その価値創造は社員自身がやりたいことに他ならず、実現するための力をつけることにポジティブに取り組んでいきたいと思います。

PERSPECTIVE

PERSPECTIVE

PERSPECTIVE

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担当業務へのあなたの想いをお聞かせください。

私には、教育学部からの新卒入社、創業の地である岡山配属、象徴的な赤ペンサービス部門からのキャリアのスタートという典型的なプロパー社員のマインドと、一度転職した後ベネッセに再入社した経験から中途社員のマインドの両面があります。そんな私が人事として、数多くの採用や社員と対話する中で感じるのは、新卒/中途を問わず共通して、benesse(よく生きる)という理念に共感していること。またそうした人々が社会的課題解決に取り組みたいという共通の想いを持ち、ベネッセのフィールドとリソースに可能性を感じていること。そうした人が集っている組織だからこその魅力です。様々な事業のDXが進む中、求められる組織ケイパビリティは変化していますが、一人ひとりの思いとスキルの掛け算が最大値になるように、人財開発を進めていきたいと思います。

DX人財開発の取り組みにおいて、企業理念「よく生きる」が実践されていると感じることはありますか?

ハイレベルな人ほど学び続けている。これが私の実感です。ハイレベルな人ほど柔軟で、今ある力だけに固執せず柔軟なマインドを持っているとも感じます。人事の立場で仕事をしていると、ラーニングヒーロー!と称えたい学びの達人の社員に出会うことがよくあるのですが、そういう社員と一緒に切磋琢磨できることが喜びです。「よく生きる」のベースは、学び続けることではないでしょうか。

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