「グローバル人材が足りない」という企業からの課題要請を受け、平成27年に文部科学省では大胆な「生徒の英語力向上推進プラン」が打ち出されました。
その後、プラン実現のために多額の税金が投じられ、英語教育現場の環境改善が図られています。同時に小・中・高校の教育現場では、日々、大変な苦労とともに授業改革が進んでいます。
このように、企業課題を受けて、教育現場がどんどん変化をしているにも関わらず、この変化をご存知でない人事の方があまりにも多いことが残念でなりません。
英語教育改革のもと学んだ人材が、数年後に自社の社員となるでしょう。人材育成の計画を考え直すきっかけになるに違いありません。
そこでここでは、人事だったら知っておきたい英語教育改革のポイントを分かりやすくご紹介します。
英語教育改革の根幹・CEFR
CEFR(Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment)という言葉をご存知ですか?
CEFRとは、「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠」のことです。これは外国語の学習・教授・評価のためのもので、言語の枠や国境を越えて外国語の運用能力を同一の基準で測ることができる国際基準です。
まずは、今回の文科省の指針は、世界基準の指標に沿って英語力の教育・指導方針を定められたということです。
CEFRは3段階、6つの能力レベル別に「何ができるか」を示した熟達度一覧があります。
ここで人事が知るべきは、現中高生はCEFRという単語や概念を皆が理解し、自分がCEFRのどのレベルに位置しているのかをほぼほぼ認識している、ということです。
企業人ではご存知ない方が多い単語ですが学生レベルには浸透していることを考えると、今後、エントリーシートなどの記載欄には、当然、「CEFRレベル」を記載させる欄を設けた方が記入率も上がるということになります。
大学入学試験も英語レベルはCEFR基準
CERFという基準の導入は、当然、指導側だけのものではなく大学入試にも大きな影響を与えています。
これは一例ですが、推薦入試やAO入試、或いは出願の際の資格として各大学が21年度の入学者選抜試験から受験生に成績提供を求めるようになりました。
つまり21年度に採用市場に入ってくる大学1年生以降は、高校時の英語教育を4技能重点型で学んでいる人材であるという点です。
これは今後の戦略的グローバル人材育成を考えるにあたって絶対に知らなくてはいけない情報です。
英語4技能の学習レベルはどのぐらいなのか?
注目すべきは、どの程度の英語力をつけて高校から人材が輩出されるのか?という点です。そこで参考にしたいのが下記の図です。
この「生徒の英語力向上推進プラン」によると2025~2029年度の高等学校卒業段階でA2~B1相当の英語力を持った高校生の割合を「50%」にすることを目標としています。
現状、18歳人口の半分以上が大学進学を目指している、ということを考えると、大卒者を対象に採用活動を展開している企業の場合、4年後に目の前に現れる新入社員はほぼほぼB1相当の英語力を用いていることなります。
英語の授業は激変している
この文部科学省の指針により、小学校3年生から英語の学習が始まり、中学・高校教育でも改訂された教科書は、旧来のものと激変しています。
そのギャップは、保護者世代と子供世代では大きな違いがあることが、下記のベネッセ教育総合研究所の調べで明らかになっています。
人材育成計画に英語教育改革の最新情報を
近年、人事部門の方から、このような教育改革の最前線の内容を勉強会で話して欲しい、などのご要望が増えてきました。
国が育成しようとしている最新の人材像を、御社の人材育成計画や新人研修設計に生かさない手はありません。
ぜひ本記事を参考にしてみてください。