大学の英語授業で学びたいのは“生きた英語力”
学生が伸ばしたい実践的なコミュニケーション力とは?

英語力ミライ会議とは?

めまぐるしく変化する時代に求められる「これからの英語力」をゲストと共に探求していくメディアです。
第3弾となる今回は「現役大学生はどう感じている?社会のグローバル化と大学の英語教育」をテーマに、今、多くの大学がグローバル教育の推進、英語教育の充実を図る中で、実際に教育を受けている学生はどう感じているのか、学修者の視点から見た大学の英語教育について現役大学生3人に話を聞きました。(全3回中第1回)

参加者プロフィール

  • アイさん

    アイさん(左)
    大学2年生。大学ではバイオサイエンスを専攻しているが、英語が好きで通訳者・翻訳者を志望する人向けの授業も履修している。
  • サキさん

    サキさん(中央)
    大学2年生。生活科学系の学部で学んでいる。スポーツ全般が好きで趣味は水泳。将来は子どもたちの教育支援の仕事に就きたいと考えている。
  • トモさん

    トモさん(右)
    大学4年生。経済学部で経営を学んでいる。就職活動時にTOEIC800点のスコアを取得。学習塾の講師やアミューズメントパークでアルバイトを経験。

和訳の発表は高校までで十分!?大学生が受けたい必修の英語授業は?

最初のテーマは「必修授業で学びたい英語カリキュラム」です。
皆さんはこれまで大学で英語の授業を受けてきて「よかった授業」「期待外れだった授業」はありますか?

私が通っている大学では、2年生まで週2コマ、英語の授業がありました。好きだった授業は、映画や海外ドラマなどを素材にして、会話の中の英語表現を学ぶ授業です。これは楽しくて「全部、こういう授業だったらいいのに。」と思いました。

英語でプレゼンする授業もよかったですね。興味がある国を調べて、その国の文化やおすすめ料理とかを英語でまとめて発表しました。アドリブの英会話は難しいのですが、事前に原稿をつくっていれば、英語を話すこと自体は嫌ではなかったです。

逆につまらなかったのは、予習で英語のテキストを和訳して、授業でただ音読や和訳の発表をする授業。英文のテーマも人口減少や環境問題といった、高校でも扱ってきたようなテーマばかりで。高校では英文の要約を自分で考えて、英語で発表する授業があったので、高校時代のほうが「英語を学んでいる」という実感がありました。

サキさん

サキさん

私もプレゼンをする授業は好きでした。どのような評価がされるのだろうと不安な部分はありましたが、それよりも楽しみのほうが大きかったです。英語を勉強している実感がありました。

プレゼンの機会は、大学よりも高校のときのほうが多かったと思います。高校では週2回ほど英語でプレゼンする授業がありました。「大学はプレゼンする授業が多い」って聞いていたので、イメージと違って少し期待外れに感じました。

アイさん

アイさん

プレゼンのテーマについてはいかがでしょうか?
「このようなテーマなら興味がわきそう」というものはありますか?

身近なテーマのほうが面白いですね。私はスポーツが好きなので、スポーツのテーマとか。よく題材に上がるような学問的なテーマはもう“お腹いっぱい”でした。ほかには「歴史上の人物について調べて英語で発表しなさい。」とか、あまり英語で扱わないテーマを、あえて英語で発表するのも面白いかも。新たな視点が持てるので楽しいと思います。

サキさん

サキさん

私もそのほうが面白いと思います。以前、必修の英語の授業ではないのですが、フリーテーマのプレゼンがありました。私は自分が好きなお菓子をテーマに設定して、お菓子に含まれる栄養素や健康への影響についてプレゼンしました。自分が専攻していることと関連づけることができたのは勉強になりました。あと聞き手に興味を持ってもらえるようなスライドを考え、英語で伝わるような表現にするなど、あれこれ考えながら工夫することも楽しかったですね。

アイさん

アイさん

お二人は「順番に和訳を当てられるような授業よりも、興味のあるテーマをプレゼンする授業のほうがいい」という意見でしたが、トモさんはいかがですか?

好きなテーマについて英語で発表する授業はたしかに面白いのですが、僕は同じ日本人学生の発表を聞くよりも、英語の教員やネイティブの講師の英語が聞ける時間が多いほうがうれしいですね。

トモさん

トモさん

僕が受けた中でよかったのは、映画などを素材にして英語表現を学ぶ授業。
単に和訳するのではなくて、その表現の裏にある文化背景や表現の意図を解説してもらうタイプの授業は興味深かったです。

トモさん

トモさん

学年が上がると英語力が下がる!?身につけたい英語力は身についたのか?

皆さんは、英語の必修授業はすでに終えていますが
「こんな授業があったら履修したかった」と思う授業はありますか?

日常会話やビジネスで使える表現、旅行のときに使えるフレーズなど、一般的な場面で使える英語をしっかり学べる授業があればよかったと思います。大学の授業で扱う英語は、日常会話の中で使える表現が少なさそうなので。

サキさん

サキさん

大学生対象のアンケート結果を見ると、大学3年生は検定試験対策、他の学年では実践的な英語やビジネスで使える英語を期待する傾向があります。また「英語力が高かったと思う時期はいつか」という質問に対しては「大学1年生」と答えた学生が圧倒的に多く見られました。

私もそうかもしれません。大学の英語の授業が面白いと思うことが少なかったし、高校で指摘されるような発音ミスをするクラスメイトがいて…モチベーションが下がったときもありました。でも、単語テストの結果を見ると私より高い点数の人もたくさんいるので、クラスのレベルが低いわけではなかったと思うのですが。

サキさん

サキさん

私は推薦で進学したのですが、早めに合格が決まったので、英語を頑張っておこうと思って勉強しました。そのおかげか、入学後もモチベーションが上がっていたように思います。英語力も総合的には今の方が上がっているかもしれません。

アイさん

アイさん

僕はアミューズメントパークで接客のアルバイトをする中で、もうちょっと英語が話せたらいいなと思うことがありますね。定形のフレーズや事務的な内容は伝えられるのですが、お客さんとのコミュニケーションという意味では、もう少し自由な内容を話せるようになりたいですね。

トモさん

トモさん

トモさんは「こんな授業があったら履修したかった」と思う授業はありますか?

準備してきた英文を発表するのではなく、その場で考えて会話するタイプの授業ですね。一方的なプレゼンではなく、双方向のコミュニケーションを重視した授業。こうした授業は、クラス分けが大事だと思います。例えば、大学入試のリーディングの成績だけでクラス分けすると「全然話せない」という可能性もあります。だからリーディングやリスニングだけでなく、スピーキングも含めた英語力で判断して、クラス分けしたら良いと思います。そうすると「レベルのばらつきがあるから、授業についていけなくてモチベーションが下がった。」ということも避けられるのではないでしょうか。

トモさん

トモさん

皆さん、ありがとうございます。次回は「自分の英語力は、知りたいけど知りたくない!?大学生が受けたいテストの特徴とは」についてお聞きします。

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