あなたは銀行や証券会社など、お金に関する仕事に興味がありますか?
この「人生を豊かにするお金と進路の話」シリーズでは、高校生のうちから知っておきたいお金と進路のお話を、投資のプロ「藤村さん」からうかがってお届けしていきます。
その4話目、今回のテーマは「お金に関する仕事の魅力とやりがい」です。
藤村さんのプロフィールはこちらです
金融とはお金を融通すること
今回は金融業界のお仕事とやりがい、金融業界の未来のことをお話しします。
「金融(きんゆう)」はちょっと難しい言葉ですね。
金融はお金を融通(ゆうずう)すると書きます。
貸したい人から借りたい人へお金を融通(ゆうずう)する、というのが金融の意味です。
銀行や証券会社、保険会社、投資会社などは「金融業界」の会社ですが、それぞれの会社は、形が違っていても、本質的に同じ役割を持っています。
それは「お金のほしいところにお金を流してあげて、お金を受け取った人も、お金を出した人も、両方が利益を得るように橋渡しすること」です。
金融業界にいる人の仕事は、そのどこかの部分を担当していると言えます。
金融業界の仕事のやりがいはお金を橋渡しして「人の役に立って喜ばれること」
私は投資の仕事を30年以上続けていますが、この業界のやりがいは、ほかの業界と人たちと変わらないと思っています。
私の場合は、投資で成果をあげて、投資家に喜んでもらえることや、資金を受け取ったおかげで事業がうまくいった人から喜んでもらえるのが、一番のやりがいです。
保険会社や銀行、証券会社の人も、形は違っても、お金を預かった人や受け取った人から、「ありがとう」と言われるのがやりがいだと思います。
私は進研ゼミのセミナーや記事で、未来の社会で発展していく仕事は、「人のためになること」や「人を楽しませること」だと言ってきました。
今までもそういう仕事が発展してきました。
仕事の大きなやりがいは、どんな仕事でも、それをすることで「人のためになること」や「人を楽しませること」にあるのではないかと私は思います。
その中でも金融業界ならではのやりがいは、お金があるところから、ないところへ橋渡しすることで、両者に利益をもたらして喜んでもらうこと。
これは時代が変っても変わらない金融の仕事の面白さだと思います。
金融業界に向いているかどうかは、そういう仕事が楽しいと思えるかどうかだと思います。
金融業界は技術革新で進化する
でもこれまでの金融の仕事は、窓口があったり、機械を使ったり、伝票を書いたり、いろんな人を介していたので、実際、会社全体として何をして社会に役だっているのか外からわかりにくくなっていました。
でも、今後はAIや今のネットのシステムが進化することで、貸し手と貰い手の距離がちぢまって、より金融の仕事の役割がわかりやすくなり、新しいサービスや商品も生まれていくでしょう。
また銀行・保険・証券などの枠組みも、もっと自由に再定義されて変わる可能性があります。
金融商品を幅広く扱う仲介業がほかにも誕生するかもしれません。
企業と企業、個人と個人、個人と起業家の間の直接取引も拡大しそうです。
またコンピュータの発達で取引の安全性も今よりも高まってくるでしょう。
すると今はセキュリテイの安全性の問題で実現できないような新しい投資商品やサービスで喜んでもらえるチャンスも広がります。
金融業界の仕事のイメージや必要な適性が変わる
これまで金融業界というと「給料は高いけれど事務仕事や単純作業が多くてつまらない」というイメージが世間にはあったかもしれません。
でもAIやコンピュータの進歩で、窓口などの事務作業、伝票チェックなどの単純作業はなくなり、そのイメージはなくなっていくでしょう。
単純作業はなくなる分、採用人数も減るかもしれません。
他の業界と同じように、データやAIを使った新しいサービスを生み出すアイデアや創造性が必要になりますし、そういう新しい金融商品やサービスを生み出すことに携わるのは、面白そうです。
だから「銀行に入りたい」「証券会社に入りたい」というより、そこで何をしたいか?がはっきりしている人が、活躍できるようになるでしょう。
地域の金融機関が「地方創生」で面白くなりそうな話
地域の活性化をめざす「地方創生(ちほうそうせい)」は日本にとって大事なテーマです。
コロナによって今までのように「大都市の人口が過密したところで仕事をすることがいいこと」という価値観に変換が起きましたよね。
そしてコロナを契機に地方にいながらリモートで働く可能性が広がりました。
それを考えると、地方の金融機関も含めて、経済は都市部への集中から分散という形にトレンドとして広がってくるのではないかと思います。
そして地方銀行、相互銀行、信用金庫など地域の金融機関の人が、地方の企業の商品を中央にもっていき広める仕事などをして、地域の経済の中心的な役割を担えるチャンスがあると私は思っています。
長年、銀行はほかの業界とちがい、いろんなビジネスが自由にできない法律の規制がありました。
でもその規制も緩められた今では、地域の金融機関では子会社を作って、人材派遣や職業紹介、商社、コンサルティング、ITなどのサービスを行えるようになり、実際に地元でそれを始めているところもあります。
それが地域経済の盛り上げにつながって地方創生が成功しているかどうか、まだ結果は微妙ですけれど、この先、地域の金融機関が地方の経済を引っ張っていく時代がくるかもしれません。
また自分の住んでいる地方を活性化するのは地域の金融機関の仕事になる。
そういう時代に替わっていく可能性はあるし、そうなれば面白いだろうなと私は見ています。
みなさんのなかで「地元のもっと盛り上げたい!」という情熱のある人は、地元の金融機関や企業を調べて、そこで自分が何をすれば地元の経済が活性化するのかな?と考えてみてください。
インタビューを終えて
投資運用のプロ、藤村さんによる金融業界の仕事のやりがいとこれからのお話、いかがでしたか?
地方創生に地域の金融機関が活躍する時代がきたら面白くなる、といお話も、未来を考えるヒントになったのではないでしょうか。
シリーズ最終回の次回は「お金に関する学問・仕事に興味のあるキミへ」というテーマで藤村さんにお話をうかがいます。
経済・経営などの学問や学部に興味を持っているみなさんや、金融業界のお仕事に興味をもったかたにおすすめの内容になりそうです。
では次回をお楽しみに!
<この記事を書いた人>
取材・文:長谷川ヨスコ
タイトルデザイン&画像:クロロ
<協力>
スパークス・グループ株式会社
代表取締役専務 藤村 忠弘 さま
※この記事は、公開日時点の情報に基づいて制作しております。