あなたは経済や経営などお金に関する学問や、金融業界の仕事に興味がありますか?
この「人生を豊かにするお金と進路の話」シリーズでは、高校生のうちから知っておきたいお金と進路のお話を、投資のプロ「藤村さん」からうかがってお届けしていきます。
そして今回は最終回。
テーマは「お金に関する学問・仕事に興味のある高校生へ」です。
藤村さんのプロフィールはこちらです。
経済や経営の知識+別の得意分野が必要な時代に
今日は、経済や、経営、会計など、お金に関する知識を専門に学んでみようかなと思っている人や、将来金融業界で働くのも面白そうだなと考えている人たちにお話しします。
前回お話ししましたが、金融業界は技術の進歩で大きく変わっていきます。
これまで金融業界に就職するのは、経済学部や、経営学部、商学部の出身者が多いのですが、そこで学んだ知識だけだと、社会人としての基礎力にはなっても、優位な強みにはならないでしょう。
もちろん、経済のことをそれより深く研究したければ、経済学部で最新理論の研究をするなどの方法もあります。
金融業界で強みになるのは、経済や経営、会計などのお金の知識+αで別の得意分野をもっていることだと考えます。
金融の仕事で最も大事なのは「お金をどこにどう流したらより利益が出るか」ということ。
それには経済や金融、経営の知識だけでなく、テクノロジーやサイエンス、IT、プログラミング、医療、薬学...などさまざまな業界の専門知識や技術について理解できる方が役立つからです。
海外の大学では「ダブルディグリー」といって二つの専攻をもつことが広まっています。
例えば経済と化学とか、会計と薬学とか、金融や経済系の知識ともう1つの専門をもつ、というものです。
日本でも大学の在り方がいろいろ議論されていて、文理融合の学部も増えてきています。
でもまだ文系と理系にはっきりと分離している学部が多いのが現状です。
だから今の金融業界では、文系・理系どちらかの学部の知識をもっている人が、会社の仕事をしながら、会社やお客さんの状況で他の分野を勉強することになります。
近年の金融業界では理系の専門分野をもった人を積極的に採用しています。
「大学で化学をやっていました」「大学でシステムをやっていました」という人はまだ少数派ですが有利になるかもしれないです。
もともと経済や金融の基礎知識は、入社後、必要な基礎知識なので、金融業界では会社で研修や資格支援などもあります。
入社する前にほかの分野の専門があると、実際の仕事をするうえで楽になる可能性が大きいです。
やりたいことのある人が活躍できる
とはいえ文系が有利、理系が有利という以前に、金融業界でやりたいことが明確にある人は、これからの金融業界で活躍できると思います。
大きく変わる金融業界では「銀行に入りたい」「証券会社に入りたい」というより、
ベンチャー企業に融資する仕事をしたい。
事業家を応援して日本の社会を良くしたい!
地方の銀行にはいって地元の経済を元気にしたい。
など純粋な強い目的を持っている人、目的意識の高い人が求められています。
金融業界に向いている人・いない人
前回お話ししたように、金融の仕事の本質は「お金を貸したい人から借りたい人への橋渡しをして喜ばれること」です。
そういう仕事に面白さを感じる人は、金融の仕事に向いていると思います。
また幅広い業界のことや、為替(かわせ)の動き、金利の動き、いろいろな国の情勢など、世界中の幅広い情報に触れていたい人は金融業界に向いていると思います。
そして金融の仕事は「人をサポートする」という意味で、ほかの業界以上に、コミュニケーション力の高さは必要な資質と言えるでしょう。
金融の仕事の現場では、いろいろな業界の専門家の人の話を聴き、理解や共感をする能力が必要だからです。
ただお金を投資したり、融資(銀行がお金を貸すこと)したりしても、みんなの事業が成功するわけではありません。
そういうときはある意味、ドライにならないとダメな部分もあります。
そこが金融業界の嫌なところかもしれませんね。
向いていない人をあえて言うなら、「数字」が苦手な人はきびしいかもしれません。
実は、ここまで金融の仕事のやりがいなどみなさんにお話しましたが、みんな金融業界にきてください、と言いたいわけではないのです。
むしろ私は、金融の仕事のしくみを活用して、自分のやりたいことで起業するチャレンジャーにたくさん出てきてほしい。
自分で人の役に立ったり、喜ばせたりする事業を起こすチャレンジャーが今の日本には必要で、そういう人たちが日本を良くしていってくれると思っています。
まとめ:インタビューを終えて
投資運用のプロ、藤村さんによるお金に関する学問のお話、いかがでしたか?
金融業界に興味のある人には特に参考になるお話でしたね。
日本では今、文理融合の学部が増えたり、リベラルアーツ(理系文系の区別のない一般教養)の重要性が議論されたりしています。
みなさんのなかにも、文系、理系のどちらにも興味があり、文理選択に悩んだ人もいるでしょう。
これからの社会の課題を解決するには、どちらの知識も必要になると言われています。
どちらを選択するにしろ、経済や金融の知識は社会人の基礎知識として必要で、それにプラスしてほかの得意分野の知識もあれば、将来、活躍の場が広がりそうですね。
これで「人生を豊かにするお金と進路の話」シリーズが終わります。
これまで読んでくれてありがとうございました!
「ミライをつくるラボ」では今回お話しいただいた藤村さんの会社、スパークス社と進研ゼミがコラボで行う特別進路セミナー「お金からミライを考える」を11月3日(木)に開催しました。
セミナーのアーカイブ動画を公開していますので、是非ご覧ください!
<この記事を書いた人>
取材・文:長谷川ヨスコ
タイトルデザイン&画像:クロロ
<協力>
スパークス・グループ株式会社
代表取締役専務 藤村 忠弘 さま
※この記事は、公開日時点の情報に基づいて制作しております。