テーマ 地域問題
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昨今、全国的に商店街や市場を訪れる人の数が少なくなっている。原因として大型スーパーやコンビニエンスストアの台頭が主にあげられる。しかし、それらと商店街や市場が共存する道もあると私たちは考えている。その一例として、灘中央市場がある。灘中央市場が賑わっている理由を解明できれば、全国の市場や商店街のモデルとなると考える。また、今日SNSは消費行動に大きな影響を及ぼすにもかかわらず、灘中央市場ではあまり活用されていなかった。イベントなどの情報が関係者にしか伝わっておらず新たな客を取り込めていなかった。以上のような理由で上記の課題を設定した。
アピールポイントは、灘中央市場のコミュニティ形成について、市場に関わる当事者目線、第三者目線の両方から研究した点である。灘中央市場は外部の人(※1)が新しい取り組み(イベント、研究)を行うことを積極的に受け入れている。私たち高校生も、市場の会議への参加、公式SNSの運用など、コミュニティの中で活動した。また、当事者として市場を見るだけでなく、フィールドワークを通して第三者目線からコミュニティを観察する。その結果をサードプレイス、コミュニティデザインの観点から分析し、現代における市場の新しい役割を提案する。※1地域の親子、高校生や大学生、NPO、行政など店主や事務員以外で市場に関心がある人
灘中央市場のコミュニティの特徴を調べるために、私たち自身が会議に出席するなど、市場のコミュニティに参加して参与観察を行った。商店主や行政から派遣されたまちづくりの専門家にインタビューも行った。また、イベント時にアンケートを行い、市場の顧客の年齢層や、SNSの認知度を調べた。関係人口を増やすにはまず「知ってもらう」ことが必要であると考えたため、私たちが市場の公式SNSをSNSマーケティング理論に則って運用し、その宣伝効果を検証した。さらに、市場の店主に対してSNSの講習会を行い、基本的な使い方や効果的な活用法を伝え、その反応を記録した。
灘中央市場には、市場に関わりたい人が「ゆるく」繋がることのできる寛容なコミュニティがある。そこでの提案を基盤に、様々なイベントが精力的に行われている。外部の人が企画から運営まで全て行うため市場の負担が小さい。そのため、企画のほとんどが拒否されることなく行われる。また、空き店舗は畑や休憩所、趣味の場として活用され、サードプレイスとなっている。SNS講習会では店主の皆さんがとても意欲的で、個人商店のSNSもより活用されるようになった。あるイベントでアンケートを行ったところ、SNSをきっかけに来た人の割合が大きく増えた。また、SNSマーケティングの実践で、市場公式SNSのフォロワー数も増えた。
灘中央市場は、家庭と学校・職場以外のサードプレイスとしても活用されている。また、多くの人は意識していないがコミュニティデザインが行われている。コミュニティデザインとは、人と人との繋がりを作ることである。灘中央市場では、防災空地において構想段階から外部の人も関わることで、コミュニティが生まれ育ってきた。市場がそこに関わりのある人たちのコミュニケーションの場となったため訪れたいと思う人も増え、賑わうようになったと考える。また、SNSには市場の関係人口を増やす効果があると言える。以前は関係者の口コミや掲示板のみでしか発信されていなかった市場の情報が、より多数の外部の人に発信できるようになるからだ。