<1月15日>
立教大学にて、経済産業省産業人材政策室の橋本 賢二さんがプレゼンターとなりFSP講座が展開されました。
今回、初めて省庁からの参加ということで、"何を学生に伝えるべきか"、"何が学生に分かりにくいのか"、などを事前に周到にご検討し資料を作成下さいました。初回講義では、「行政はなにをするのか」「企業とはなにが違うのか」など行政という仕事の難しさや醍醐味など、普段、全く知る機会のないリアルな現場を知る機会となりました。
そもそも、企業人である私自身も、なかなか行政と企業の違いを明確に説明が出来るわけではありません。また、その社会的役割や意思決定のプロセス、施策の視点など、自分達が働く上でも、ぜひとも知っておくべき内容ばかりでした。
今回の課題は、人材政策室からということで、「日本を支える人材を育成するために、今後、どのような政策立案をすべきか」といった非常に難易度の高い内容でした。
講義の中では、これまでの日本経済の推移や今後の予測、また、技術の深化、グローバル化がもたらす様々な変化の兆しなど、10年、20年後に今とは激変するであろう社会環境予測と、それに伴い日本が抱える人材育成の課題が話されました。これらは、現大学1年生が10年、20年後に、現場の第一線で活躍する際に、どの様な人材になっていたいのか、どのような仲間と一緒に働きたいかのかに、想いを馳せるきっかけになればと願い、提供された課題でした。
また、FSP講座では、その課題の当事者になって取り組むことをルールとしています。つまり、経済産業省の役人になったつもりで、この課題に取り組むことを要求するために、一次・最終提案では、政策説明資料1枚(A4)+根拠資料3枚(A4)以内という制限が設けられました。
橋本さんのご説明では、政治家に説明をするのに長々と時間を取れることはほぼなし。まず1枚の説明で「なるほど」「おもしろい」と思われないと、時間ももらえないし話も聞いてもらえない、とのこと。これは、企業人でも行う「エレベーターピッチ」とまさしく同じです。忙しい上司や社長にエレベーターに乗っている15秒から30秒の時間内にプレゼンテーションをし、話を聞いてもらうビジネスチャンスをつかむテクニック。これを日々実践している橋本さんならではの現場の臨場感に溢れる制約でした。
実際に、最近の大学生の提案の中には、デザインやアニメーションなどで、見かけだけ相当レベルは高いけれども、提案の中身が全く薄いプレゼンテーションを非常に多くみます。そういった意味でも、A41枚で、いかに論理的に、魅力的に、その政策を魅せるのか?どんどん情報や言葉を削ぎ落としていく作業には、思考力の高まりを感じることができました。
最終提案では、実際に先進的な取り組みをする小学校に全員でヒアリングに行ったチームや、500人弱にアンケートを行ったチームなど、彼らなりにこの課題に取り組む姿が印象的でした。授業の最後に、橋本さんに1位をもらったのは、「自分達が良いと思う施策をいかに実現させるプロセスに持ち込むのか、いかにこの施策に関わる多くの人々のことを考えられらのか?その1点で、他チームよりも行政官に近づいていた」という評価をもらったチームでした。この視点に気づいたことも、この講座での大きな意味であったように思います。
最終提案には、人事院より中嶋 範子さんも駆けつけて下さいました。橋本さん、中嶋さん、本当にありがとうございました!!