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■実践講座ダイジェスト

産学連携(企業&大学)の実践講座の報告をご紹介致します。


企業風土と企業文化は違う。

<5月7日(水)>

上智大学にて資生堂の梶原砂織さんが企業プレゼンターとして登壇されました。

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冒頭に梶原さんから、ご本人の紆余曲折な過去のキャリアの話がありました。文系出身にも関わらず理系の研究職に就いていた話や、人との出会いで様々な業務をご担当されたタフさに一気に学生は引き込まれてしまいました。そして、資生堂が大切にしてきた企業文化。それを伝える意味。等、過去の様々な取り組みや編集のイデオロギーを聞く事ができ、社会人である我々でさえ、大変勉強になる内容でした。

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プレゼン終了後は、編集長の石井光学さんと一緒に各チームを回り、質疑に答えて下さいました。

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<この講座に参加した企業人の声>

「花椿」編集長の石井です。

"美意識"や"企業文化"といった弊社では何気なく使っている言葉を学生の皆さんと共有する難しさを感じましたが、同時に、それぞれのチームが自分たちなりに咀嚼して理解しようとする対応力の高さに感心しました。正解のない問いに対して、どう捉え、どのような提案にひろげてくれるのか、若い感性と消費者に近い目線だからこそ見える世界や気づきを、私たちもぜひ学びたいと期待しています。

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<この講座をご担当される教員の様子>

上智大学では、FSP講座を4年連続ご担当下さっている上智大学の荒木先生が講座を運営されています。

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今回、一番驚いた事は、授業準備を行っている資生堂社員やFSP事務局メンバーに、次から次へと学生が挨拶をしにくる姿です。教室に入って、いつもと違う顔ぶれがいれば、「こんにちは」と大きな声で挨拶し、来客席で待機をしていると、わざわざそこまで来て挨拶をする学生。それは1人や2人ではなくほとんどの学生がそうでした。授業終了後には、「ありがとうございました」の声が学生個々から自発的にされてました。

もう一つ驚いた事は、学生の時間管理への配慮です。始業2分前にはほぼ全員が着座。終業ベルが鳴っても個別に質問を続ける学生に、「そこまでにしよう。」とたしなめ、「企業人にとって時間は貴重。時間内で質問するようタイムマネージメントが必要だよね」と荒木先生が一言。この姿勢は、学生がプレゼンをする際の時間管理等、随所に意識されることと思います。また、慣れないパワーポイントでの授業にも関わらず、どの学生も必死にメモを取り続ける60分間の姿に、我々も「忙しい時間を割いてでも来てよかった」と思わせる、非常に気持ちの良い空間がありました。

わずか、数回のマインドセットで明らかに"高校生"が"社会を意識した大学生"に変化。この力量に荒木先生のご経験から積み上げられた知見を痛感致しました。

 

 


ロイヤリティを高めるとは?(中間プレゼン)

<5月21日(水)>

上智大学にて資生堂への中間プレゼンが行われました。上司役として、石井光学さん、梶浦砂織さんの2名がご参加されました。

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企業の売上や知名度を上げるという取り組み易い課題ではなく、"ロイヤリティを高める"という提示された課題の難しさに、学生も苦戦。梶浦さんからは、「それは商品の売上を上げる施策であり、提示した課題であるロイヤリティではない」という指摘が何度も飛びました。また、石井さんからは、「コンテンツ案の羅列やアイディア出しの前に、もっと上のコンセプト、方針が欠けている」という各チームの企画の大前提を確認するコメントが多く出されました。

課題解決型授業では、「課題を正しく捉えること」そのことが非常に重要です。この課題の取り違いは、実際の社会の現場でも良く見受けられます。課題を正しく捉えることの難しさを学び、更に思考を深めていくことを期待します。

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<この講座に参加した企業人の声>

学生の皆様が当事者意識を持って課題に取り組んでいることが伝わってきて嬉しかったです。
ただ課題である「メディアとしての未来形」ーつまり、『花椿』が将来どんなメディアになっているか、について語っているところが少なかったように思います。『花椿』の未来像をイメージし、なぜそのようなメディアにしようと考えたのか、それを様々な角度から、必要であればデータなどを利用して論理的に語っていただくことを期待しています。
また、『花椿』のミッションを、直接的に化粧品の売上げをのばすこと、と考えているグループが多かったように思います。そうではなく、あくまでも『花椿』のミッションは「資生堂の美意識を伝えることによって、資生堂に対するロイヤリティを高める」です。そこをもう一度認識した上で、『花椿』のあるべき姿を考えていただきたいと思います。若者らしい自由な発想で課題に取り組んでいただければと思います

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<この講座を受講した学生の様子>

今回の講座で非常に感銘を受けたのは、全てのチームが「我社の強みは・・・・」「我社の方針として・・・」「我社の顧客層に・・・」と、口々に「我社」という言葉を使っていた点です。この姿には、学生が社員として当事者意識を持ってプロジェクトに取り組む姿を象徴しているように思えました。また、ほぼ全てのチームがプレゼンの際に全員が発言したことです。メモを取る人、PCを操作する人、発表をする人、それぞれにきちんと役割分担がなされており、チーム全員で上司に挑んでいるという雰囲気がありました。プレゼンのリハーサルにも相当時間を割いたことが見受けられ、持ち時間を超えたチームは1チームのみ。前回に引き続きタイムマネージメントの重要性を十分に理解した学生の行動をはっきりと成果として見ることができました。


1+1=2 なんて仕事はない。(最終プレゼン)

<6月4日(水)>

上智大学にて資生堂への最終プレゼンが行われました。上司役として、岡田恭子さん、石井光学さん、梶浦砂織さんの3名がご参加されました。

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学生は、前回同様チームでプレゼン時間をマネージし、チームの誰かが必ずきちんと顏をあげ、笑顔でアイコンタクトを取っている姿に、入念にリハーサルを重ねてきた様子が見て取れました。また、全チーム、必ずメンバーが1回は発言するという姿勢にチームで活動してきた自信を感じました。

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しかし、企業人の要求レベルは、更に高く、最後の全体講評では厳しい指摘が続きました。

岡田さんからは「本気で世界中どこにもないメディアを目指したのか?」「小さくまとっまったアイディアばかりで残念」「革新的な提案が欲しかった」そんな、学生に覚醒を促す言葉が。また、「1+1=2 なんて、そんな仕事は世の中にない」という梶浦さんの発言に、この講座では答えのない課題に取り組んでいる、その意味が代弁されたように思いました。

最後に、最終プレゼンに駆けつけて下さった資生堂の前田会長より、「今の"花椿"の表面的な課題点に対策をうつ、仕事はそんな簡単な話じゃない。過去に度重なるリニューアルを重ねて今がある。その意味、なぜそうしているのか?そんなことを十分考えた上での取り組みだったのか?君たちは本当に脳みそから汗が出るくらいこの課題に取り組んだのか?」と、まさしく本当の社員に語りかけるような厳しくも温かいエールが送られました。(左:梶浦さん 中:前田会長 右:岡田さん)

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資生堂の前田会長の他、花椿編集室より塚田さん、真木さん、元資生堂の深澤さんのご参加がありました。またFSP研究会からも安西理事長がご参加され、大変賑やかな最終プレゼンとなりました。

資生堂の皆さま本当にありがとうござました!!