Benesse

採用サイト トップに戻る

RECRUITING SITE

Benesseがこだわる、⼈に向き合うテクノロジー活⽤ 
コールセンター

AI × ⼈のチカラで、圧倒的な
「顧客サービス」の
利便性と
価値体験を実現

〈こどもちゃれんじ〉や「進研ゼミ」のコールセンターでは、いかにしてテクノロジーを活用して、お客さまに向き合っているのか。

会員数260万人にものぼる顧客接点を担うコールセンターには、膨大な件数の問い合わせが寄せられる。一方で、時代はモバイルデバイスの普及により、電話やメール以外のコミュニケーションを好む層も増えた。顧客対応が多様化するなか、Benesseのコールセンターはどのようにカスタマーエクスペリエンス(CX)を高めているのか。顧客サービス部 サービス戦略課 グループリーダー 萱場成樹に話を聞いた。

※所属・役割は2020年03月時点でのものです。

  • 顧客サービス部 サービス戦略課 グループリーダー 萱場 成樹
    (所属・役割は2020年03月時点でのものです)

気軽に、手間なく疑問や用件を
解決できる手段をめざして、
AIチャットボットを導入

家庭学習の教材として長年親しまれている〈こどもちゃれんじ〉や「進研ゼミ」。未就学児から高校生まで会員数は260万人にのぼり、毎月、学年別に異なる教材を提供している。当然、顧客からの問い合わせも多く、その数、電話だけで年間330万件。入学・卒業の繁忙期にはさらに体制を増強して顧客対応を行うという。

「多くのお問い合わせをいただく中で、いかにお客様をお待たせすることなく、困りごとを解決できる手段はないかを考えていました。ウェブサイトからキーワード検索で調べていただくのも、お客様にお手間を取らせてしまいます。お客様の利便性を向上させるためにもテクノロジーの活用は必須だと考え、チャットボットの導入に着手しました」(萱場)

萱場によると、Benesseでは2013年から電話による顧客対応以外に、〈こどもちゃれんじ〉や「進研ゼミ」のウェブサイトでFAQによる情報提供を充実させてきた。しかし、キーワード検索による情報収集は、顧客が膨大な検索結果から必要な情報を探さねばならず、顧客のストレスにつながっていたというのだ。

そこで萱場率いるチームは、テクノロジーを活用した顧客の利便性向上に着手。2017年度より各講座のお客様窓口にAI&有人のチャットサービスを導入した。

  • 〈こどもちゃれんじ〉の保護者向けウェブサイトに導入されたAIチャットボット

「めざしていたのは、お客様に問い合わせの労力・手間をかけさせないことです」と萱場。いかに顧客の問い合わせに対する敷居を下げ、必要な情報を提供できるか。「お客様に労力・手間をおかけすることなく、ご自身でご不明な点を解決できる手段があれば投資していきたいと考えていました。チャットボットを活用したサポートサービスも、そのひとつの手段です」と導入経緯を語った。

人のチカラも組み合わせて、
より満足度の高いチャット“サービス”へ
進化・成長

一口に顧客からの問い合わせといっても、その内容は多岐にわたる。入会申込や紹介制度、支払い方法などから、“ログインができない”、“デジタル教材にアクセスできない”といったエラーに関するものまでさまざま。萱場は「お客様からいただくご質問の多くが、実はFAQページに存在する内容でした。まずはこの部分からチャットボットを活用し、お客様自身でスピーディーにストレスなく解決していただける手段を提供していきたいと考えました」と説明する。

最初に手掛けた「進研ゼミ小学講座」のお客様窓口は、LINEを活用したチャットによるサポートサービスで、AIによる自動応答とオペレーターによるサポートを両立したもの。LINEのトーク画面にあるメニューから問い合わせ内容をタップすると会話が始まり、内容に応じた回答が自動的に表示される仕組みだ。AIによる自動応答については当初、FAQページのよくある質問を教師データとして活用し、回答精度を上げるためにチューニングを繰り返した。

さらに、スマートフォンから連絡した顧客に対しては、音声案内でLINEのチャットサービスに誘導できる導線も確保した。同システムの実現はLINE社の「カスタマーコネクト(2017年当時)」という機能を用いたものだが、当時は正式リリースまで数ヶ月という段階。Benesse含む6社のパートナー企業で合同プロジェクトを立ち上げ、新たな顧客サービスの提供チャネルを開発すべく、早期導入に踏み切った。

開発のプロセスでは、電話からLINE連携サービスのファーストユーザーであるがゆえ、未知の課題への取り組みや試行錯誤を繰り返したというが、顧客品質とスピード感のバランスがとれたサービスローンチを実現。その後、複数業種の企業と導入状況の意見交換や現場見学を経て、さらなる品質改善に取り組んだ。より利便性の高いサービス提供に向けた気づきは、先鞭をつけたことで得られた利点だったという。

とはいえ、テクノロジーによる効率化だけをめざしたのではない。萱場は「チャットのサポートサービスで一番こだわったのは、AIの自動応答に依存せず、オペレーターによるサポートも提供することでした」と語る。すべてをテクノロジーで解決するのではなく、自動応答できる部分を見極め、顧客がサポートを必要とする部分では、オペレーターにつながる動線を用意した。また自動応答についても、ロボット色が強くならないよう、顧客との“対話”を意識してキャラクターを設定。「同じ自動応答でもキャラクターがあるとないとではお客様の受け取るイメージが違うことが、やっていく中で見えてきました。オペレーターの対応も、スタンプや画像をうまく使えるようにし、お客様がより親しみを持てるチャットに進化してきたと思います」と萱場は手応えを語った。

こうした取り組みの結果、チャットボットによる解決率は高い水準を維持しているという。一例として、問い合わせの最後に「ご案内が役に立ちましたか?」の質問を投げかけているが、同質問に答えた顧客のうち65%が「はい」と返事。萱場は「業界内では解決率の平均は50~55%という数字を聞いていて、Benesseはその水準に対して高く、お客様から一定の満足が得られていると考えています」と述べた。

顧客の最前線であるコールセンターの
利点を活かして、生産性を向上

2020年3月時点でLINE公式アカウントの友だち数が14万人を突破したという問い合わせ窓口。電話による問い合わせ件数が削減したのはもちろん、より多くの顧客と接点が生まれた。以前よりも顧客の困りごとを解決できるようになったことは、顧客接点が増えたメリットだと萱場はいう。

「わざわざ電話するまでもないが、ちょっと聞いてみたいというお客様からLINE経由で気軽にお問い合わせをいただくようになりました。チャットボットとLINEで年間15万件以上のお問い合わせを頂いています。今までリーチしづらかったお客様の声に対応できるようになったと考えています」(萱場)

こうした環境をさらに活かすべく、2019年からAIのチューニング作業をBenesse内製ではなく、コールセンターの窓口で一緒に取り組めるよう体制を変更。以前は、前日のログを見ながらチューニング作業を行っていたが、それでは遅いと判断。よりスピード感を持って顧客対応できるように、コールセンターでの気づきをすぐにQAで返答できる体制を整えた。

たとえば、電話でデジタル教材のエラーに関する問い合わせが来た場合。オペレーターからの報告を受けて、システム側に知らせると同時に、問い合わせ画面でも何らかの回答ができるよう即時対応を行う。コールセンターとチューニング作業を近づけることで顧客の利便性をさらに向上させている。

それだけではない。チャットサービスを使うことでより多く、顧客の生の声に触れられるようになり、サービス改善や商品企画に反映できるようになってきた。「チャットサービスでは、お客様の声を漏らさずテキストで拾えるようになり、定量的に把握できるようになりました。こうした声は各事業部に対して改善策を要求し、その内容を経営層にも報告しています」(萱場)。

企業ブランドやサービス認知に寄与する
デジタルチャネルとしての可能性追及

このようにチャットボットの活用でカスタマーエクスペリエンスを高めてきたBenesseのコールセンター。現在はどのような課題を抱えているのだろうか。

これについて萱場は「お客様の個別対応に添えきれていないことです」と話す。チャットによるサポートサービスでは、そもそも、一般的な返答しかできないからだ。顧客の受講内容や教材の取り組み状況に合わせた情報提供、さらには学習相談などの一歩踏み込んだ問い合わせをより充実させていくためには、社内の顧客データを参照しながらの対応が必要となる。そのためのインフラ整備も急務だ。またその過程の中で、今後の展開としては、顧客からの問い合わせを受けるだけでなく、顧客に合わせた情報提供ができるサービス開発にも挑戦していくという。

「Benesseは多くの商品・サービスが点在化しています。お客様からは“そんなサービスがあったのね”と言われることも多く、まだまだ周知できていないと感じています。今後は、拡大できたお客様との接点で、個々のお客様に合わせたBenesseの商品・サービスをご紹介することで、よりお客様の満足度向上につなげられないかと考えています」と萱場は抱負を述べた。

企業と顧客の接点が多様化する中で、チャットによるサポートサービスは新たな「企業の顔」であり、そのコミュニケーションの重要性は高まっている。顧客が必要とする情報提供だけでなく、そこから新しい価値を生み出すためには、どのような体験が必要なのか。萱場らの挑戦は続く。

取材:2020-03
掲載:2020-05