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RECRUITMENT

データとテクノロジーを活用し、
お客様に寄り添うサービスを展開したい

顧客のエンゲージメントを高める
デジタルメディア戦略

顧客とのあらたな関係性を築きあげるKids & Family事業本部のデジタルメディア戦略とは。

『たまごクラブ』や『ひよこクラブ』、『サンキュ!』『いぬのきもち』『ねこのきもち』などの人気雑誌や、国内最大級の女性限定口コミサイト『ウィメンズパーク』、子育て世代・ファミリー層へのEC事業を手掛けるKids & Family事業本部。紙からデジタルへ、インターネットやSNSの普及により顧客の情報収集や価値観が変化した今、同部署ではどのようなデジタル戦略を進めているのか。Kids & Family事業本部 デジタルビジネス開発部(以下、K&F) 川嶋祐介に聞いた。

※所属・役割は2020年03月時点でのものです

  • Kids & Family事業本部 デジタルビジネス開発部 川嶋祐介
    (所属・役割は2020年03月時点でのものです)

お客様の生活スタイルに合わせた
複数のチャネルで、
”ベネッセへの入り口”を拡大する

K&Fは、妊娠・出産期の女性や子育て世代の保護者、またファミリー層向けに雑誌やEC事業を展開する部署だ。出版不況時代と言われる今も人気雑誌を手掛けており、1993年に創刊したマタニティ・育児雑誌『たまごクラブ』や『ひよこクラブ』はロングセラーで、今も多くの妊婦や母親に親しまれている。また生活情報雑誌『サンキュ!』は30代から40代主婦層の圧倒的な支持を獲得し、3期連続で女性誌実売1位を記録した(※)。ほかにも人気ペット雑誌『いぬのきもち』や『ねこのきもち』を刊行するほか、出産・ベビー用品を扱うECサイト「たまひよSHOP」を運営するなど、雑誌やEC事業を中心に事業展開している。

※日本ABC協会発行社レポート2019年1月~6月 月刊誌 販売会社部数

「K&Fの事業は、お客様にベネッセを知っていただく、最初の顧客接点の入り口です」と話すのは、同部署全体のデジタルメディア戦略を担当する川嶋。赤ちゃんからお年寄りまで幅広い年齢層に読まれるコンテンツを提供することで、顧客との接点拡大をめざす。一方で、時代の流れはデジタル化へ。今までは紙の雑誌を中心に、一方的に情報を届けるモデルであったが、インターネットやモバイルデバイスの普及により、顧客にとって身近なスマートフォンにコンテンツを提供し、コミュニケーションを図るモデルに変遷してきた。K&Fではこうした流れを受けて、デジタルメディアの強化に取り組んできたのだ。

ところが川嶋は、ビジネスとして幅広い顧客にアプローチすることは求められているものの、重要視しているのは、そこではないという。「K&Fが大切にしていることは、お客様の悩みや不安を和らげるような情報提供、そして新しい体験や多様な選択肢を提案できるコンテンツのご提供で、各ブランドのファンの皆さまに、もっと好きになってもらえるよう、エンゲージメントを高めていくことをめざしています」と想いを語る。

コンテンツによって接点を拡大し、
コミュニケーションによって
エンゲージメントを高める

このような人気雑誌やEC事業を手掛けるK&Fは、2017年より本格的にデジタルメディア戦略に着手した。

そのひとつとして同部署は、各雑誌のコンテンツを軸とした本格的なウェブメディアを立ち上げた。たとえば『サンキュ!』は当時、ブログが唯一のデジタルコンテンツであったが、“読みもの”として楽しめるコンテンツに一新しウェブメディアで発信。同様に、ペット雑誌・保険の販促サイトを展開していた『いぬのきもち』『ねこのきもち』も、読者が楽しめるコンテンツを同サイトで充実させた。またヤフーやLINEなど外部アクセスからのコンテンツへ誘導する導線を築き、新規読者の獲得にもつなげた。

その結果、全デジタルメディアの購読者数は数千万規模に増え、月間1億PVを超えるまでに成長を遂げた。またこれらのウェブメディア以外にも、スマートフォンアプリ「まいにちのたまひよ」や「いぬのきもち・ねこのきもち」などをリリースし、顧客の人気を獲得。「いぬのきもち・ねこのきもち」のアプリにいたっては、累計160万ダウンロードを突破した。デジタルのチャネルが増えたことで、新規の顧客接点はさらに広がった。川嶋は「『まいにちのたまひよ』は、昨年の出生数約86万人のうち1/3のお客様にご利用いただきました。デジタルメディア戦略は後発ながらも、ここまで追いつくことができました」と手応えを述べた。

K&Fのデジタルメディア戦略が成功した要因は何か。川嶋はそもそも雑誌というメディアで築いたコンテンツ力が大きいとの見方を示す。コンテンツのデジタル化によって、いくら顧客との接点を拡大しようとも、やはり最終的には顧客を惹きつけるコンテンツ力がなければ継続的な利用につながらない。その点、K&Fが手掛けたコンテンツは強かった。「紙媒体で長く愛され、その時代のお客様に合うトレンドをつくるコンテツ力があったからこそ、デジタルメディアでの展開を拡大することができました」と川嶋。ネットで調べれば何でも情報が手に入る時代に、新しいトレンドをつくる力を持っていたのはK&Fの強みだといえる。

その後は、コンテンツの発信力を活かしつつ、ウェブサイトやスマートフォンアプリを通して顧客とのコミュニケーションをさらに充実させ、エンゲージメントの向上に取り組んでいる。たとえば、「いぬのきもち・ねこのきもち」のスマートフォンアプリであれば、ペットの写真を投稿して編集部が記事として掲載したり、ペットの飼い方や健康状態を専門家に相談できたりと、顧客と双方向でコミュニケーションができるコミュニティを形成した。顧客のエンゲージメントを高めるために、コンテンツ力とコミュニケーションの双方に注力して、デジタルメディア戦略を進めているのが成功の要因だ。

データを基にお客様を更に理解し、
お客様一人ひとりに寄り添う

K&Fはこうしたデジタルメディア戦略を進めるなか、さらに顧客一人ひとりに寄り添うアプローチをめざし、インターネット上での行動履歴や購買履歴などさまざまなデータを管理できるプラットフォーム「DMP(Data Management Platform)」を導入した。ウェブサイト内のデータを基に、顧客一人ひとりの理解に力を入れていきたい考えだ。

「閲覧情報や行動情報などお客様からお預かりした情報の中で、許諾をいただいた範囲のデータを基に、次のタイミングに合う最適な情報をご提供したいと考えました。たとえば妊娠された方は、週数ごとに欲しい情報が異なりますが、DMPを活用すればタイミングよく、一人ひとりのお客様に合った情報を届けることが可能です。お客様の悩みや不安の解消にもつなげていきたいと考えました」と川嶋は語る。一例としては、DMPから顧客のLINEへパーソナライズした情報を配信するなど、新たなアプローチを開始した。

川嶋はDMPについて、「K&Fはメディアの特性上、お客様申し込み情報を持っており、妊娠週数、子供の年齢、ペットの年齢など起点となる情報をもとに一気通貫でデータを蓄積できるのが強みです。その起点をもとに自動計算し、お客様のタイミングやライフステージに合わせて最適な情報をお届けできるのは、幅広い事業を手掛けるベネッセならではだといえます」と話す。

一般的に、DMPは顧客がウェブサイトを閲覧した時点の情報しか把握できないが、K&Fの場合は、子供の成長やペットの成長など、時間経過を起点にデータ蓄積できるのがメリットだ。また属性の異なる多様な顧客の膨大なデータが扱えるのも、K&FにおけるDMP活用の特徴であるといえる。川嶋は「多くのお客様の行動や属性のデータを貯め、AIを活用して分析することで、今までよりも深くお客様の理解につなげることができました」と話す。より丁寧に顧客と向き合えるようになったことで、提供できる情報の質を高めていけるというのだ。

メディアの拡大だけではなく、
テクノロジーを活用した
新しいビジネスの創出をめざす

K&Fのデジタルメディア戦略、現在の課題点は何か。これについて川嶋はCookieの利用制限が強化され始めたことを挙げた。昨今はAppleのSafariでサードパーティのCookieがデフォルトでブロックされるなど、マーケティング戦略に逆風が吹き始めている。「ユーザー動向を追いかけきれない状況が始まっており、Cookieに頼らないデータ収集が課題です」と同氏は述べた。

また今後の展開については、メディアを足掛かりに、他の新サービスの展開へも広げていきたい考えだ。

「デジタルメディア戦略は、単に新規顧客の獲得やブランド価値の向上をめざすものではありません。お客様の理解が進んだことにより、メディアという壁を越えて、新たなビジネスへの挑戦ができるようになりました。今後は、テクノロジーを組み合わせて新しいサービスを生み出すことに力を入れていきたいです」と川嶋氏。すでにK&Fでは、ペット関連や保育園関係の領域で新しいサービスが始まっているという。ゆえに組織としても、さらに新規事業が生まれやすいよう、変化できるスピードを加速させたい考えだ。

ベネッセへの入り口としての役割をもち、新たなサービスの創出をめざすK&F。赤ちゃんからお年寄りまで、人の長い一生に提供できる価値あるサービスはまだまだ増える。

取材:2020-03
掲載:2020-07