「サステナブル」とは。
最近よく目にするサステナブル(Sustainable)とは、どのような意味を持つ言葉なのでしょうか。
サステナブル(Sustainable)は、sustain(持続する)とable(〜できる)からなる言葉。「持続可能な」「ずっと続けていける」という意味があります。現在、世界の人たちが共通の目標として取り組み始めているのが「サステナブル(Sustainable)」な社会の実現です。
今、世界がめざす「サステナブルな社会」とは。
「サステナブル(Sustainable)な社会」とは、「持続可能な社会」を意味します。それは、地球の環境を壊さず、資源も使いすぎず、未来の世代も美しい地球で平和に豊かに、ずっと生活をし続けていける社会のことです。
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しかし、その実現は容易なものではありません。
例えば、地球温暖化の問題。産業革命以降、大気中の二酸化炭素(CO2)の濃度は急上昇してきました。経済活動によるCO2の排出量の急増が主因と考えられており、それにともない世界の平均気温も上昇傾向にあります。このまま上昇し続ければ、2100年には最大で4.8℃上昇(※)するという予測もあります。
このような地球温暖化は世界各地に気候変動をもたらし、集中豪雨や高温などといった異常気象を引き起こすなど、各国で深刻な影響が出ています。
(※)2000年の世界全体の平均気温と比較した場合(図2参照)
※参照元:アメリカ航空宇宙局(NASA)ホームページより
ベネッセホールディングス作図・加工
RCPシナリオ(Representative Concentration Pathways)=代表濃度経路シナリオのことで、RCP2.6は、厳しい温暖化対策を取った場合、CO2排出量の最も低いシナリオ。RCP8.5は、最大排出量に相当するシナリオ
※参照元:IPCC 第5 次評価報告書 統合報告書、気象庁「世界の平均気温 偏差(℃)」 より、ベネッセホールディングス作図・加工
また、地球人口の急増も問題視されています。2015年に約73億人だった人口が、発展途上国での急速な人口増加によっては2100年には約110億人に達するという予測も出ています。地球上の人口が急激に増え続ければ、さらに環境破壊などを引き起こすことが予想されます。
※参照元:
United Nations Population Division,
World Population Prospects, the 2017 Revisionより、
ベネッセホールディングス作図・加工
こうした問題を考えるだけでも、人類が豊かに生存し続けるための基盤である地球環境は限界に達しつつあります。これまでの消費型社会・経済の論理では地球はもたなくなると考えられているのです。
そんな危機から脱し、「サステナブルな社会」を実現するために、世界中の人々がともに立ち上がり、力を合わせて問題を解決していくことを模索し始めました。
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SDGs、それは世界を変えるための17の目標。
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、Sustainable Development Goals
「持続可能な開発目標」のことです。
SDGsは、2015年9月の国連サミットで193の国の首脳の参加のもと、全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられました。
SDGsは、貧困や飢餓から環境問題、経済成長やジェンダーまで幅広いさまざまな課題が網羅されています。豊かさを追求しながらも地球環境を守り、「誰一人取り残さない」ことを強調し、2016年から2030年までの15年間に達成することを目標としています。
危機感からの世界の動きが、SDGs採択に結びついた。
SDGsが採択された背景には、1970年代からずっと続いている地球資源の枯渇や環境問題への危機意識があります。
1980年代に「持続可能性」の概念が登場。1992年の「地球サミット(リオサミット)」が、「持続可能性」の概念を世界的に普及するきっかけとなりました。そして2000年以降、「持続可能性」への危機感はさらに高まっていくことになります。
2000年の国連ミレニアムサミットでは、SDGsの前身であるMDGs(Millennium Development Goals 「ミレニアム開発目標」)が採択されました。MDGsは主に途上国の社会開発を目標としており、飢餓人口の割合が半減するなど国際社会の協力によって一定の成果を達成しました。
そして2015年、MDGsの後継として、2030年までに達成すべき「持続可能な開発目標」であるSDGsが誕生したのです。
MDGsが貧困などの限定された社会課題を対象としていたのに対し、MDGsを発展させたSDGsでは先進国も含むすべての国の気候変動、人権、経済成長など、より広範な課題の解決を対象としているのが大きな特徴です。
ESG投資が、企業のSDGs参画に拍車をかける。
また、2006年に国連責任投資原則を発表したことがきっかけとなり、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの要素を考慮する「ESG投資」が世界的に活発に行われるようなり、ESGは現在では企業の価値を評価する材料として使われています。
ESGと相関するSDGsでは民間企業も課題解決を担う主体として位置づけているため、ESG投資を重視するうえでSDGsの目標を経営戦略に取り込み、事業機会として活かす企業が世界的に増えています。
SDGs 17の目標は、世界が行動を起こすための目標。
SDGsには17のさまざまな目標があり、子どもたちも含め、あらゆる人がそれぞれの立場から目標達成のために行動することが求められています。
目標
- 1あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
- 2飢餓に終止符を打ち、食糧の安定確保と栄養状態の
改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する - 3あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
- 4すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
- 5ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
- 6すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する
- 7すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
- 8すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する
- 9レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る
- 10国内および国家間の不平等を是正する
- 11都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする
- 12持続可能な消費と生産のパターンを確保する
- 13気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
- 14海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する
- 15陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
- 16持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する
- 17持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
SDGs採択後も、「世界終末時計」は進んだ。
「世界終末時計」とは1947年にアメリカの科学誌『The Bulletin of the Atomic Scientists』が作った、地球滅亡を午前0時として地球最後までの残り時間を示す時計です。時計の針は世界情勢によって進んだり、戻ったりします。
その針が2018年1月26日に30秒進められ、滅亡まで残り2分となり、1953年と並んで最短になりました。SDGsのもと、世界は努力を続けていますが、危機はまだまだ続いています。私たちは、SDGsへの取り組みをさらに強めていく必要があるのではないでしょうか。
持続可能な社会の実現を担うのは、これからを生きる子どもたち。
日本政府が発表している「SDGsアクションプラン2019」では、SDGsを推進するための取り組みとして「あらゆる人々の活躍の推進」「持続可能で強じんな国土と質の高いインフラ整備」「省エネ・再エネ、気候変動対策、循環型社会」「生物多様性、森林、海洋等の環境の保全」などの8分野に特に力を注いでいくことが表明されています。(※)そして、その中の一つとして「SDGsの達成を担う人材育成」も取り上げられています。
SDGsは先進国・途上国を含めた世界共通の目標であるため、日本にも関わりが多い課題がいくつもあると言われています。例えば、ジェンダー平等(目標5)、クリーンなエネルギー(目標7)、働き方(目標8)、格差の是正(目標10)などが該当しそうです。
そのため政府は、この先の未来を担う子どもたちに「サステナブルな社会」のつくり手となるために必要な資質や能力が育成されるよう、ESD教育(Education for Sustainable Development)、「持続可能な開発のための教育」を推進しています。
小学校では2020年度、中学校では2021年度、学習指導要領の改訂に合わせてESD教育を盛り込むことが方針として決められました。
学校教育をはじめ、家庭、地域などあらゆる場でSDGsに関する学習・活動はすでに広がりつつあり、ESD教育は今後ますます重要になると考えられています。
※ここで紹介している情報は、2019年3月時点の情報をもとに執筆しています。
※国名は略称です。
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