CASE STUDY

DX文脈のメディア露出1800件、「自由研究おたすけAI」は30番組で放送。
広報の力でベネッセの魅力を社会に伝える

各事業部やHDの広報を全社横断的に支えているDigital Innovation Partners(DIP)広報担当。DX関連のメディア露出獲得に力を注ぐDIP広報部が2023年夏に特に力を入れたのが「自由研究おたすけAI」のPRだ。30番組で放送されるなど、テレビを中心に多くの取材を獲得するために行った施策や今後の取り組みについて、松尾美沙に聞いた。

松尾 美沙

Digital Innovation Partners 広報部

新卒で通信業界に入社し、PR、マーケティングコミュニケーションに従事。在職時は新サービスやスマートフォンなどのPRに関わる。2020年にベネッセに転職し、校外学習カンパニーで「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」のPR、デジタルマーケティングを担当し、2022年より現職。

ISSUE(課題)

ベネッセのDX推進への認知度の低さと過去のイメージの払拭

「進研ゼミ」には歴史があるために、郵便だけで添削をしていた頃のイメージを持たれている方もいらっしゃいます。積み重ねてきた歴史にはもちろん良いイメージが多く含まれていますが、デジタル学習できることやDXへの取り組みがあまり知られていないことが課題でした。教育サービスを提供している他のベンチャー企業の方が最先端の学習方法を提供しているのではないか、とのイメージを持たれている方もいらっしゃいます。このようなイメージを払拭することが必要でした。

今までベネッセは目立った競合がいないくらい圧倒的な在籍数を誇ってきましたが、デジタル化が進み競合も多くなってくる中で、メディアを通じてベネッセもDXによって進化していることを広く伝えて認知を獲得していくことが求められていました。

SOLUTION(ソリューション)

HDや事業部のPRを

DIPの広報なのでDX関連のニュースを出していくことが第一ですが、実はHDのコーポレート広報と事業部のマーケティング担当との間に入って、コンサルティングをする業務もあります。事業部にPR施策の提案をするなど、守りになりがちな広報業務ですが、話題の最大化を目指して様々なことに取り組んでいます。

待ちの姿勢ではタイムリーに社内の情報を得られないので、週に1回は事業部とのミーティングの場を設けて全ての案件を把握するところから始めました。社内の信頼を得るためには、成功事例を積み上げていくことが大事だと考え、上半期はそこに注力しました。その甲斐あって、当初と比べると積極的な相談を受けることも増え、少しずつ信頼を得られている実感があります。

DIPが広報をうまく進めるためには、各担当者に寄り添いながら進める必要があります。その点、組織横断的に関わることのできるDIPの利点が生かせたと思います。

RESULT(結果)

2022年度に2000件近いメディア露出を獲得。2023年度には自由研究おたすけAIが30番組で放送

2021年度はDX文脈のメディア露出がほとんどありませんでした。ゼロの状態から2022年度には1883件のDX文脈の露出を獲得でき、PR活動の成果を1年で大きく伸ばすことができました。DIP広報の人材も増え、2023年度はさらに細かく各事業を見られる体制が整ったので、いいペースで露出を獲得できています。

直近の案件でいうと、「進研ゼミ」の小学講座から出した「自由研究おたすけAI」のPR活動で大きな成果を出せました。夏休みの自由研究のための生成AIのサービスで、そのPRを最大化したいという依頼が事業部からありました。目標とする広告換算額を達成するためには、どうしてもテレビの露出を獲得する必要があり、そのために取材できる場を作ることが必要でした。

プレスリリースを書くだけではなく、体験会の実施をDIPから事業部に提案して取材誘致を行いました。文部科学省は当時、子どもたちが生成AIを勉強で使うことの指針を検討している段階でしたので、まずベネッセとして生成AIに対するスタンスをどうするのかを明確にしました。

今回の生成AIの一番のポイントは「答えを教えない」こと。子どもたちが自分だけで考えていると気づかない部分をAIとの対話で得て、さらに考えを深めていくことで子どもたちの思考力を向上させるサービスです。1+1=2のように決まった答えを教えるものではないということが非常に大きなポイントでした。

学校ではまだ十分に教わらない生成AIとの向き合い方を子どもだけではなく保護者にも学んでいただく必要があったので、ベネッセからリテラシー教育もコンテンツとして提供していました。リスク面はケアしながら、子どもたちが今後生きていく中で無視できない生成AIの活用を安全・安心な環境で早い段階で学んでいただきたいということを強く考えていました。

一方で、報道される際に生成AIのリスクについて取り沙汰されるなど、ベネッセの取り組みがネガティブに受け止められる可能性もありました。それを払拭するためにPR用の資料をDIPで作り、各メディアに訪問もさせていただきながらプレスリリースを出すだけではなく、丁寧なコミュニケーションを取っていきました。

その結果、体験会には在京の全テレビ局がカメラを持って取材に足を運んでくださいました。30番組以上で放送され、新聞は100件以上、Webメディアも800件を超える掲載をいただき、広がりのあるメディア報道につながりました。

「自由研究おたすけAI」はベネッセの会員ではない方も使えるサービスでしたので、テレビ報道を通じて多くの方に伝えることに意義がありました。ネガティブな報道もほぼなく、自由研究と同時に生成AIについても学べるいい機会だと受け止めていただけました。

体験会は進研ゼミの会員の方々にお声がけし、事前に内容をお伝えせずに会場に来て初めて生成AIを使ったサービスだと分かる形で実施しました。そのため、子どもと保護者の率直かつポジティブな言葉がメディアを通じて伝わりました。体験会の実施自体は苦労もありましたが、結果が出て良かったです。

報道が報道を呼び、ゴールデンタイムの番組や地方のメディアにも取り上げられるなど、継続的にメディアで取り上げられるいい循環ができています。

PERSPECTIVE

PERSPECTIVE

PERSPECTIVE

PERSPECTIVE

今後チャレンジしていきたいことは何でしょうか?

これから特に注力したいのがローカルメディアの露出獲得です。ベネッセは「進研ゼミ」のようなBtoCのCMを打つようなサービスだけではなく、「ミライシード」や先生方の校務支援など学校向けのBtoBのサービスも多く提供しています。こういったサービスはエリアや学校ごとに採択されることが多いので、ローカルメディアとの関係を深めています。また教育は地域によって課題が異なるので、東京からの報道だけですと他のエリアの方々は関心を持ちにくいので、エリアごとに担当をつけて、足を運びながらソリューションやベネッセの想いなどをお伝えしています。マジョリティだけではなく、エリアごとのメディアを通じて教育課題に寄り添うことはベネッセらしい考え方だと思っています。

より多くの方にベネッセの取り組みを知っていただきたいので、社会的なインパクトがある内容を出していきたいですね。例えば生成AIについても開発過程や社内で生成AIを学習に使うことについてどのような議論がなされたかなど、前段階のことや過程も含めて戦略的な広報を仕掛けていきたいです。

企業理念の「よく生きる」を実感することはありますか?

お客様がよく生きるための課題に対して、ベネッセのソリューションを通して解決したいという思いが非常に強い人が多いです。社会課題の解決のために同じ方向を向いて、社員一人ひとりが「よく生きる」を軸に業務を行っていると感じます。そういう考えの人たちと一緒に働くことはモチベーションアップにもつながり、入社してよかったと実感します。私自身は教育や情報の格差、環境による選択肢の数の違いに問題意識があります。そういったことの解決に仕事を通じて取り組んでいきたいです。

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