Benesse 「よく生きる」

EPISODE 人と社会の
「Benesse(よく生きる)」
をめざして

学びと遊びの境界を無くす!「進研ゼミ」がゲームを使った学習ソフト開発に込める思い
進研ゼミデジタル小学生中学生

左上:ベネッセコーポレーション 中学生商品開発部 山田亮(Ryo YAMADA)
右上:ベネッセコーポレーション 小学生商品開発部 神崎望(Nozomi KANZAKI)
左下:ベネッセコーポレーション 小2-6マーケティング・営業部 課長 奥井紗智子(Sachiko OKUI)
右下:ベネッセコーポレーション 小学生商品開発部 部長 山津祥子(Shoko YAMAZU)

ベネッセコーポレーションは、ゲーム「Nintendo Switch(TM)」を活用して楽しく学べる学習ソフト「進研ゼミ 得点力アップシリーズ for Nintendo Switch」を開発し、2023年4月から小学5、6年生、中学1年生の「進研ゼミ」会員に提供しています。そのねらいは、コロナ禍の影響で子どもの学習意欲が低下していると言われるなか、これまでの勉強方法とは大きく発想を変えて、学ぶ楽しさを体感してもらおうというもの。子どもたちの日常に目線を合わせながら「学びと遊びの境界を無くしていきたい」という思いと、利用者の反応を聞きました。

ゲームに夢中の子どもたち。ならば、それを学習に使ってみようという発想の転換

ゲーム感覚で学習しようというコンセプトは、どのようなきっかけで生まれたのですか。
神崎
コロナ前と比べて、「勉強にやる気が出ない」という子どもが増えていると言われています。その状況を変える突破口を見つけるために、「どうやったら自分からやる気になるだろう?」「子どもが夢中になるものって何だろう?」という議論を重ねていたことが背景にあります。
山津
私自身、小学生の保護者です。うちの子は、友だちとゲームでよく遊んでいます。楽しい時間を少しでも長くしたい子どもと、その時間を勉強に向けてほしい私とで言い合いになることがあるんです。こんな親子は多そうだな…と思い、それならば、ゲームを学習手段として使えるようにすれば、お互いにハッピーになれるじゃないかと。そこから、「Nintendo Switch(TM)」で使える学習ソフト「進研ゼミ得点力アップシリーズ」の企画が始まりました。
商品プロジェクトマネージャーの山津。入社以来、中学生向けデジタル教材や英語デジタル教材開発などに従事した経験を活かし、開発をリードする。
学習教材とはいえ、自社にノウハウのない手法に取り組むのは大変だったのでは?
神崎
そうですね、手探りではありました。ただ、タブレットを使った学習教材「チャレンジタッチ」をリリースしてから10年間、子どもたちのデジタル学習の取り組み分析を蓄積してきたことが大いに役立ちました。

また、私たち社員の多くはゲームに夢中になって育ち、大人になった今も日常的に楽しんでいます。開発中は担当以外の社員にも広く声をかけ試してもらいましたが、好きなことを仕事に活かせるという熱量で大いに盛り上がり、さまざまな意見をもらうことができました。自分たちにしかできない学習ソフトをつくれるはず!と、わくわくしながらやっています。
小学生向け開発リーダーの神崎。IT企業でWEBサービスの企画開発を経験し、入社後は「進研ゼミ小学講座」で商品開発に従事する。
山田
パートナーのゲーム開発会社さんに伴走いただいたことも大きかったですね。「進研ゼミ」の教科編集チームとのコラボレーションがうまくいき、超短期で開発を進められました。

具体的には、各学年で特に苦手になりやすいものにまず焦点を当てました。小学5年生には「世界の地理」、小学6年生には「歴史」。中学1年生は、定期テストや暗記対策にもなる理科・社会のゲームを提供することにしました。

いずれも一人で勉強するだけではなく、家族や友だちと対戦が楽しめるところがポイントです(おすそわけプレイ)。
左:歴史ゲーム(小6) 右:理科と社会の暗記ゲーム(中1)

ひとりでどんどん学習に取り組む姿を見て、保護者の理解が一気に進む

山津
当初は、社内にもゲームで学ぶことへの懐疑的な声がありました。空気が一変したのは、開発中の親子モニター調査のときです。入室した子どもたちは真っ先にゲームを見つけ、目を輝かせたんです。こちらから案内する間もなく次々に手に取る様子に、保護者の方も私たちもびっくりしました。

子どもたちは学習に夢中になり、保護者の方からは「楽しんで勉強してくれそう」「親子で一緒にやれますね」と前向きな声をいただき、これならいけると確信しました。
学習ソフトは、子どもたちの声も反映しているのですか。
奥井
何度かモニター調査を行い、普段からゲームをやり込んでいる小学生に手厳しい指摘をいただいたこともあります。全体のデザインや展開の仕方、キャラクターやアイテムの見せ方のバランスに至るまで「こうしたほうがいいと思う」「こんなゲームならやりたい」という子どもたちの意見をたくさん聞き、ブラッシュアップしていきました。
プロジェクトで営業を担当する奥井。入社後、進研ゼミ小学講座・英語教材の販売促進や、小・中学生向け添削教材開発を経験して現職。
新しい商品なので、広く保護者に特長を知っていただくには工夫がいりますね。そのカギとなるのは? 
奥井
とにかく体験していただくことですね。体験版をやっていただくことで、楽しさと役立ちを実感してくださっているように思います。
山津
例えば大きなTV画面に学習ソフトの画像を映し出し、ごきょうだいで勉強を楽しんでいる姿を目の当たりにしたとか、親子対戦でお子さまの知識量の豊富さを知り「すごいね。見直したよ!」と自然にほめる言葉が出てきたという声をお聞きすると、ゲームソフトを通じて勉強ができるということを体感していただいているように感じます。
奥井
家族の対話が生まれるんですよね。一人で勉強する時間も大切ですが、リビングで家族一緒に学習できること、生活の中に自然に勉強が入り込んでいくことが評価につながっているように思います。

子どもの生活にスムーズに入り込む学び方で、「勉強なんだけど、楽しい!」時間を増やしたい

2023年4月から「進研ゼミ」会員の対象学年に提供していますが、反響はどうですか。
山田
「毎日やっています」「いっぱい使っている!」という反応をたくさんいただいています。子どもたちの生活にだんだんと入り込めているのかなと。

普段は勉強に気持ちが向かないけれど、ゲームならちょっとやってみようかなという気になり、やってみたら面白くてもう少しちゃんと勉強したくなって、ほかの学習教材にも手を伸ばす…というケースもあるようです。
中学生向け開発リーダーの山田。IT企業でシステム開発・プリセールスを経て新規事業開発を経験。入社後、「進研ゼミ中学講座」で商品開発に従事する。
山津
ごきょうだいや友だちと一緒にやっていただくことで、対象以外の学年の方から「自分にもほしい」というお声をいただくこともあります。興味があれば学齢を超えて学ぶことができるので、そのご要望にも注目していきたいと思います。
開発はまだこれからも続きます。「進研ゼミ」の新たな学びのスタイルとして、それぞれ目指していることを聞かせてください。
神崎
遊びと勉強の境界って、実はあいまいだと思うんです。「遊んでいるけど、勉強になっている」「勉強なんだけど、楽しい」。そこを追求しながら、学ぶことで子どもたちがイキイキするようなシーンを創り出していきたいです。
山田
私自身ゲームが好きなので、「いつの間にかできるようになった!」とスモールステップで力がついていく学習ソフトの設計にこだわりたいです。ちょっとした余暇の時間を楽しい勉強の時間にして、勉強に自信がついていくといいですね。
奥井
ゲームでの学びがきっかけになり、保護者から自然にほめ言葉が出る、成果につながっていく。そういった好循環で勉強を好きになってくれる子が増えたらいいなと思っています。
山津
人からやらされたのではなくて、自分で興味を持ってどんどん勉強していったことって、記憶に残りますよね。ゲームを使って学んだ子が大人になったときに、「あれもこれも、そういえば自分でゲームしながら覚えた」という、記憶に残るものにしていきたいです。

そういった「子どもたちの未来につなげていきたい」という思いをもって、学習意欲をくすぐるものをたくさん生み出していきたいです。

※Nintendo Switchのロゴ・Nintendo Switchは任天堂の商標です。

※ご紹介した情報、プロフィールは2023年7月取材時のものです。

この情報はあなたの役に立ちましたか?
はい いいえ