【企業の英語研修担当者必見!】
実例からみる!
ラーニングコンテンツ選定の前にまずすべきこと

人事担当者向け

世の中には、英語取得に向けたさまざまな学習ツールで溢れています。

「聞くだけで〇〇〇」「1日わずか5分で〇〇〇」「寝ているうちに〇〇〇」「すき間時間に〇〇〇するだけ」など多種多様です。皆さんも、このキャッチフレーズに目を奪われ、思わず購入してしまいそうになった経験があるのではないでしょうか?

しかし、これらの学習ツールを漠然と網羅するだけでは効果的な学習は期待できないでしょう。

そこで今回は、弊社が実際に現場の声を訊く中でわかった英語研修、学習ツールの問題点と、弊社で実施したプロジェクトを実例にツール選定を行う前に抑えておくべきポイントについて解説いたします。

英語ペラペラの定義は何ですか?

上記のようなキャッチフレーズに溢れる学習ツールをはじめ、これまで多くの英語教材を研究してきました。

その経験から言えることは、これらのキャッチフレーズはいずれも間違ってはいない、ということです。

ただ、1つ確実なのは、それぞれの学習ツールが言っている「英語がペラペラになる」の“ペラペラ”のレベルが全く違うということです。

ある教材では、ペラペラ=暗記したフレーズを何も見ずに復唱できるレベル、別の教材ではペラペラ=道端で外国人に英語で質問された時に応答できるレベルでした。

またある教材ではペラペラ=海外旅行で買い物や食事ができるレベルで、この事例はいずれも英語の習得レベルとしては全く違う到達レベルです。

つまり、各教材が目指しているペラペラの定義が全く違っているということです。

学習者にもみられる定義のミスマッチ

これと全く同じ現象が、今度は学習者側にも起こっています。英語学習に失敗する確率の高い学習者の特徴があります。

その方の特徴とは、私が「あなたが目指している英語のレベルは?」と聞くと、「英語マスターになることです」と答える方です。

これは前述した“ペラペラ”と全く同じパターンで、“英語マスター”の定義が学習者の中に明確になっておらず、漠然としたイメージしか保有していない結果、効果的な学習を選択できず迷走をしてしまいます。

企業における英語教育担当者の問題点

更に問題なことは、これらと同じ現象が企業の人材育成担当側にも起こっていることです。

グローバル人材育成に関してお問い合わせをいただく際に最も多い質問は「英語が上達するLearningを何か紹介して欲しい」です。

実際にどのようなレベルまで社員を上達させたいのか?どのようなシーンで英語が必要なのか?現在のレベルはどの程度なのか?

これらの問いに、ほぼ解が無い状態で学習コンテンツを探している研修企画担当者が非常に多いことは、これまでご紹介した、ペラペラ、英語マスター、という失敗キーワードと同じ現象が起こります。

つまり、知名度、価格、過度なキャッチフレーズ、誘導的なユーザーコメント、巧みな営業トークに翻弄され、学習者を完全に置き去りにした研修企画が構築されてしまうという結果です。

企業向け英語研修、学習ツールの選定前に抑えるべきポイント

上記の問題を踏まえると、英語研修、学習ツールを選定する前に抑えるべきポイントとは、まず“グローバル人材”の定義を定めることにあると考えられます。

“グローバル人材”といっても、各企業でいっている“グローバル人材”の定義は広義にわたるということが分かっています。

サバイバルイングリッシュでも構わないので、まずは海外に1歩踏み出すバイタリティーがあれば良い、という企業もあれば、商談の主導権を握りまとめてくる力を要求する企業もあります。

また業務によっては最先端のテクノロジーや知見を英語の論文レベルまで網羅し現業に生かせる技術・研究職向けに語られる“グローバル人材”もあれば、ダイバーシティーも視野に入れ、多様な文化への配慮を欠かさずチームをまとめ上げる人材を“グローバル人材”と定義をする企業もあります。

当然、TOEIC Listening & Reading TESTで800点を超えるレベルというのも定義の1つかも知れません。

最も大切なのは自社で求めるグルーバル人材像を明確に定めて、それを実現できるLearningコンテンツを選ぶことです。

それにも関わらず、この自社で求めるグローバル人材の定義がなされていないケースが非常に多いことが、“ペラペラ”、“英語マスター”、“グローバル人材”という共通の失敗要因から見えてきます。

図解!「自社が目指すグローバル人材の英語レベル」

下記の表をご覧ください。

これは、ある企業と一緒に行ったプロジェクトの成果物です。どの業務にあたる人材にどの技能をどのレベルまで引き上げて欲しいのかを一覧にしたものです。

なお、表中の数字はベネッセの4技能英語アセスメントGTEC(Global Test of English Communication)のスコア(各技能250点満点)を記載しています。

特徴的なのは、部下レベル(Informal)と、管理職レベル(Formal)に分けてレベルを明らかにした点ではないでしょうか?

この企業では、この表を公表したのちに、自分の現状のスコアと提示された目標スコアとの差異を社員自らで明らかにし、現業に必要な技能と、現状のスコアからふさわしいレベルのLearningコンテンツを特定し学習に向かうという非常に興味深い行動変容が起こりました。

まずはグローバル人材の英語力のレベルを明確に!

現業ではほぼ使わない技能の学習を強要されることは社員の意欲を削いでしまいます。

逆に、現業で必要な技能の学習に集中したいのに、現業とは直結しないレベルやコンテンツで学習しなくてはならないことはリソースの無駄でしかありません。

“ペラペラ” “英語マスター” “グローバル人材” というNGワードからそろそろ抜け出しませんか?