外国人と一緒に働いた経験がある人が口を揃えていうのは「問題は英語力だけじゃない」という事実です。
グローバル化が進む現代において、グローバル人材として活躍するためには英語以外に必要なことをここでは「異文化理解」として、ご紹介します。
意思疎通を妨げるのは価値観の違い
外国人と一緒に働いた経験者の71%が意思疎通に問題を感じているようです。これは当然の数字ではないでしょうか?
しかし、その意思疎通を妨げているのは、どうやら言語の違いだけではないという調査結果があります。
(出典:日経ビジネスオンライン)
最も多くの人が意思疎通を妨げた要因としてあげたのが価値観の違いでした。
そして、この価値観の違いを理解すること=異文化理解こそがグローバル人材に必要なことと言えるでしょう。
それでは具体的に、グローバル人材に必要な異文化理解のポイントをご紹介してきます。
グローバル人材に必要な異文化理解の3つの要素
海外赴任に出る前に行う赴任者研修では、英語で仕事をすることの前提として3つの要素の話をします。
・心のありかた
・コミュニケーション
・英語力
語学だけが堪能でも成功できないし、心構えだけあっても当然成功なしえないといえます。この3つの要素のバランスが大切です。
逆に、英語に少し苦手意識が残っていても、他の要素を膨らませることで補完できることもあると考えられます。
心のありかた
そもそも、生まれ育った環境が全く違うので、考え方や知識も全く違う人々が集まって仕事をするのです。
「違って当然」「違った上でどう関係を構築していくのか?」という根本的なスタートラインをチューニングする必要があります。
「文化」とは一体何でしょうか?この問いに、「文化とは氷山だ」と称することが多くあります。
この図のように文化には見える文化と見えない文化があると言われています。
見えない文化は、ビジネスパーソンとしてのあなたの素地のような部分です。
素地の部分が赴任先の国の文化とどう違うのか、このアプローチができるかどうかといった、見えない文化に対する心のありかたが成功の第一要素であるといことは一目瞭然ではないでしょうか?
コミュニケーションスキル
ここでいうコミュニケーションスキルは、英語力とは違い、言い換えればコミュニケーションストラテジーのようなものです。
グローバル人材に必要なコミュニケーションスキルとは、「察する、あうんの呼吸」からいち早く脱することです。
日本人のコミュニケーションスタイルは1を聞いて10を知る、です。
つまり「察し」のコミュニケーションが前提であり、周りの人々、場所、時間、タイミング、そのときの気分、二人の関係など、コミュニケーションを取り巻く背景からより多くの情報を得ようとする「高コンテキスト文化」です。
一方で逆の文化を、10を聞いて1を知る、と捉えてみましょう。
つまりコンテキストよりも、表現される言葉から意味を得ようとする「低コンテキスト文化」もあります。
国境が多くの国と接していて、異なる言語・文化的背景をもった人が日常的に出入りするようなヨーロッパなどの国では、一つひとつ正確に合理的に話さないと意思が通じないからです。
このコミュニケーションそのもののアプローチが違う、という前提に立ってコミュニケーションをとるスキルが2つ目の要素になります。
英語力
3つの要素の中の最後が英語力です。英語力とはつまり、英語のスコアといったテストなどの指標に対する一定の評価を指します。
英語力ももちろん大切で取り込むべき項目ではあります。しかしグローバル人材となるためにまず手を出しがちな英語力の向上=英語のスコアがすべてではありません。
グローバル人材に近づく学習攻略法
では、どのように日本に居ながらにグローバル人材に近づくことができるのでしょうか?
キーワードは「シチュエーションベース」です。
つまり、実際のビジネスシーンで起こりうる様々な状況を設定されている教材を選び、そのシチュエーションの中で英語だけでなく、そのシチュエーションの中で、どのような判断や対応が進んでいくのかを英語で学習する学習法です。
このような教材は多数あります。例えば、「会議の際に」「契約を交わす」「価格交渉をする」「クレームを処理する」など、日々のビジネスシーンを彷彿とさせる状況設定です。
今後、英語学習をするための教材を選ぶ際は必ずその教材にシチュエーション設定があるかどうかを確認してみましょう。
また昨今では、赴任するわけではないが、日本にいて、外国籍のビジネスパーソンと一緒に仕事をする人も多い事でしょう。
その際に、語彙が少ない、経験はないと、その環境を避けるよりも、まずはシチュエーションベースで学び、学びの中で場数を増やしていくことからチャレンジしてみましょう。
グローバル人材として活躍するために必要なのは英語力だけじゃない
赴任してから異文化を理解するのは大変なストレスです。
ここまで読むと、どうやらグローバル人材として活躍するための問題は英語力だけではないとご理解いただけるのではないでしょうか。