あなたはお金をじっくりと育てることに興味がありますか?
この「人生を豊かにするお金と進路の話」シリーズでは、高校生のうちに知っておきたいお金と進路のお話を、投資のプロ「藤村さん」にうかがってお届けしていきます。
3回目の今回は「時間を味方にお金を増やす」というお話。
藤村さんのプロフィールはこちらです。
大人よりも高校生が有利なのは「時間」
今日は、お金を増やすには時間を味方にできる、というお話をします。
大人よりも若い高校生が圧倒的に持っているものは人生の「時間」と言えます。
自分の資産を育てるのは、社会に出て働いて何十年も経ってから始めるより、若いうちに始めたほうが、時間を味方にして大きく育てられる可能性があります。
時間が味方するのは貯金も投資も同じです。
貯金は今から始めている人もいると思いますが、それはとてもいい習慣です。
少しの額でも、おこづかいやお年玉などの収入の一部を貯金に回す習慣があれば、1年、2年...10年、20年と経ったときには、貯金の習慣のない人よりずっと資産が増えていくことでしょう。
一方、投資で時間を味方にするには、どうすればいいのでしょうか?
それは「長期投資」と呼ばれる投資のやりかたです。
長期投資は、1日に何度も株価などをチェックして売ったり買ったりするのではなく、10年、20年、30年とお金を「預けっぱなし」「ほったらかし」にして、お金が育つのをじっくりと待つ投資のやり方です。
投資には、「時間」を味方にお金を増やせる可能性が貯金よりもずっとあるんです。
どうして長期投資では、時間を味方に大きくお金を増やせるのか、その理由を説明しますね。
リスクを小さくできる
前回、「リスクとリターンは比例する」という話をしました。
ちょっと高めのリターンをねらうなら、その分、高めのリスクを負わなくてはならない、という話でしたね。
株式や債券などの投資商品は、価格が変動しやすいものです。
これを短期間で売り買いすると、どうしても大きくもうかったり大きく損をしたりと、アップダウンの差が大きくなってしまいます。
ところが、1日や2日の値動きには大きな変動があっても、2年や3年、10年の長いスパンでみると、その変化はおだやかで、さほど大きくならない傾向があるのです。
だから同じ投資商品を買うにしても、短期よりも長期で持っている方がリスクを小さくおさえられるメリットがあるのです。
複利効果で大きく増やせる
長期投資のメリットの2つめは、長く投資するほど「複利効果」というものが大きくなることです。
複利効果は、利息に利息がついて、年月が経てばたつほど、どんどん指数関数的に利息が大きくなっていく効果のことです。
だからすぐに使う予定のない10万円ほどのお金があれば、今から預けておくと、20歳、30歳、40歳になった時に、複利効果ですごく利回りがよくなっている、というようなチャンスがあります。
「複利効果」大切な知識なので、以前のこちらの記事でも紹介しています。ぜひ読んでみてください。
大事な時間を大切なことに使える
預けっぱなし、ほったらかしの長期投資がおすすめの理由の3つめは、自分の人生の大事な時間をほかの大切なことにかけられることです。
長期投資では、短期投資のように、いつも値動きを見張って、売り買いをひんぱんにしなくてもよくなります。
だから人生の大事な時間をほかの自分の大切なことに使うことができますよ。
これは第1回目の「お金は人生の中心ではない」でお話ししたとおりです。
長期投資にもデメリットがある
ただし長期投資をすれば必ずお金が増える、という意味ではありません。
やはり投資には「絶対にもうかる」という話はなく、投資の結果が思い通りにうまくいかない可能性もあります。
だからどの会社の株式や債券を買うかとか、どの投資信託を買うか、と金融商品を選ぶときは自分でよく調べて、自分に理解できる得意分野のものを買う必要があります。
また1つの商品に全額を一度に投資するのではなく、少しずついろいろな商品に投資して、リスクを分散させることなども大切ですよ。
とはいえ、若い人ほど時間を味方にお金を増やせる可能性があることは間違いありません。
長期の視点でじっくり育てていく考え方は、勉強や部活、習い事、仕事などで実力をつけていくときや、将来会社を経営するときなど、人生のいろいろなことにも役立ちますよ。
まとめ:インタビューを終えて
投資運用のプロ、藤村さんによる「投資は時間を味方にできる」というお話でした。
投資はじっくりと長い期間をかける方が、さまざまなメリットがあることがわかりました。
高校生のうちに、時間を味方につけてお金を大きく増やす視点を手にいれられたあなたはとてもラッキーです。
次回は銀行や証券会社、保険会社、投資会社など、お金に関する仕事の未来や、やりがいについて、藤村さんからお話しいただきます。
<この記事を書いた人>
取材・文:長谷川ヨスコ
タイトルデザイン&画像:クロロ
<協力>
スパークス・グループ株式会社
代表取締役専務 藤村 忠弘 さま
※この記事は、公開日時点の情報に基づいて制作しております。