Benesse 「よく生きる」

EPISODE 人と社会の
「Benesse(よく生きる)」
をめざして

お客さまの変化をマクロとミクロの視点で読み解き、経営・事業を支える専門チーム
分析見立て専門知識

株式会社ベネッセコーポレーション
ビジネスインテリジェンス部
事業インテリジェンス課課長 沖川美和(右)
全社インテリジェンスチーム 嶋本雄太(左)

ベネッセコーポレーションには、お客さまを深く知るための消費者リサーチや、さまざまな情報をもとに市場を理解し、少し先の事業環境を見立てる専門組織があります。その知見をもとに事業部門の活動をサポートし、また、経営陣に中長期の事業環境予測や議論テーマを提言するなど、お客さまに役立つ商品・サービスを提供し続けるための基盤を担っています。見通しが不透明な時代だからこそ、5年後、10年後を考えた『変化の見立て』と顧客への深い洞察が重要だと語る担当者に、その思いを聞きました。

事業環境を取り巻く市場の情報と、
消費者リサーチの分析・洞察で、経営と事業を支える

ビジネスインテリジェンス部の活動について教えてください。
沖川
大きくは2つの機能があります。一つは事業部門への支援です。事業のパーパスや持続的成長を実現するために、自社の事業に影響する教育や生活領域の情報を集めたり、調査の分析を行ったりします。それをもとに、事業部門で対応していくべき活動設計の提案や、実行のサポートをしています。
具体的にはどのような調査ですか。
沖川
教育市場の動向や浸透状況の把握、お客さまの学習や生活に関する困りごとの変化を見る調査が多いですね。

ほかにはマーケティングリサーチとして、新しい商品・サービスを提案するためのインサイト発掘や、その提案がお客さまにとってどんな価値を持つものかを測る受容性調査、既存商品・サービスと比較して予測値を算出するポテンシャル調査を実施することもあります。この商品・サービスはお客さまの困りごとを解消するものになっているか、お客さまの人生を豊かにするための新しい提案になっているかなどを判断するのに必要な調査です。

ベネッセはこれまでもお客さまに向き合い、事業改善を重ねてきました。ただ、例えば教育領域で言えば、学校でのICT端末を使った学び、英語教育の充実化、プログラミング教育など、学び方と学ぶ内容が変わっているなか、お客さま以上にお客さまを理解し、少し先の未来をイメージしながら、何を、どのように学ぶとよいかを提案し続けることが、今の使命だと思っています。
事業部門の支援を主とする事業インテリジェンス課のリーダー沖川
もう一つの機能は?
嶋本
ベネッセコーポレーション全体の戦略を検討・判断するための経営サポートをしています。事業横断の重要テーマについて、各事業の戦略スタッフと連携して課題を特定し、今後の市場を見立てています。教育領域であれば、「GIGAスクール構想」や「年内入試(大学入試で年内に合否が決まる総合型選抜・学校推薦型選抜)の広がり」といったもので、すでに今も影響が出始めていますが、5年後、10年後に教育市場全体に影響を与えうる課題ですね。

ベネッセにはさまざまな商品・サービスがありますから、考察すべき情報も多種多様です。一歩引いて市場全体を俯瞰して見比べながら、情報の妥当性や解釈の方向性を分析します。そしてその分析を踏まえ、事業にとって中長期的にどんな意味を持つかの提言までを行っています。

事業を通してお客さまを見ることはもちろん大事です。しかし一方で、ひとりのお客さまが何をどう考えているかを、事業という枠組みで切り取ることなく、バイアスをかけずに洞察することも重要だと考えて取り組んでいます。
経営サポートを主とする全社インテリジェンスチームの嶋本

入口はマクロでも、出口は
「それでお客さまの生活・意識はどう変わるか」。
行ったり来たりしながら考える

ビジネスインテリジェンス部の視点から、最近の子どもたちの様子で気になる変化があれば教えてください。
沖川
事業インテリジェンス課でコロナ禍から行っている、お客さまの困りごとを定点的に観測している調査結果をみていると、「子どものやる気」が低下していることは、今後注視していきたい点です。「やる気の低下」自体は以前から起きていたかもしれませんが、コロナ禍がそれを大きく加速させてしまったと考えています。

コロナ禍の緊急事態宣言を受けて、学校教育が以前のかたちで行えなくなり、子どもたちが家で自学自習しなければならなくなりました。その時に、対応できた家庭とそうではなかった家庭とに大きく分かれ、対応できなかった家庭が多くあったことがデータに現れてきていると捉えています。

商品・サービスの個別化が進んでいく今、お子さまを中心とした、家庭の状況、学校・先生の状況を踏まえ、家族・親子のインサイトに、より深く踏み込んでいかなければなりません。この点は事業にも経営にも、しっかり伝える必要があると感じています。
なるほど。そうやって「見立て」を行っていくのですね。
嶋本
「見立て」を考えていく上で、絶対に外せない観点があります。それは、マクロで事業環境の変化をまとめて、わかった気になって終わらせないことです。

その影響を受けてお客さまの生活・意識にどのような変化が起きるか、しっかりつなげて解釈をすることこそ大切です。マクロの視点に加えて、お客さまと事業の視点を行ったり来たりしながら考えることが、私たちの専門性だと思います。
事業部門と連携するうえで、心がけていることはありますか。
沖川
事業部門は自分たちなりにベストの事業計画を考えています。そこに対して今の見立てとお客さまの状況といった多面的な視点で提案していくので、意見が食い違うこともあります。

ただそういう場面でも、「お客さまの側から見るとこうですよね」ときちんと構造的に議論して、お互いに理解しようとしていくと、意見が違っていたというよりは「アプローチの方法が違う」、「時間軸が違う」という本質に気づくのです。

ともにベネッセの一員として、お客さま本位で考えていることに変わりはありません。時間がかかっても対話をやめることなく、お客さまにとってよりよい商品・サービスにしていくにはどうしたらいいだろうと突き詰め、深めていく機会だと思っています。
嶋本
また、私たちの当事者意識も必要で、依頼されたからやるのではなく、自分がこの事業のパートナーであるという意識や、自分がこの事業部の意思決定者であればどう考えるのかというマインドで動くことが求められます。私自身、そこはとても大切にしているところです。

「明日の意思決定」を後押しし続けることで、
5年後の未来をつくるパートナーになれたら

今と未来を見ながらの仕事ですが、どのような思いをもって取り組み続けたいですか。
沖川
お客さま自身も、5年後の未来ってわからないと思うのです。どういうふうに子どもを教育していくべきか、自分はどうあるべきか…。だからこそお客さまのことをお客さま以上に知ろうと向き合い、事業を通してそれぞれの、一つひとつの「明日の意思決定」の後押しができればと考えています。そして、この選択のどこがよかったのか、こういう道もあったよねと考え続けていくことで、お客さまの「よく生きる未来」につながっていけばと思います。

直接的ではありませんが、こういうかたちでお客さまに寄りそうことが私たち専門チームの強いところであり、ベネッセの強みでもあると言えるようにしたいですね。
嶋本
そうですね。ベネッセはお客さまのことを一番よく理解し、よく理解できているからこそ新しいことを提案できるのだと思っていただけるようになりたいです。

専門チームが事業の今と未来をつくるパートナーであるように、「ベネッセはお客さまのパートナー」になっていけるような活動を続けていきたいです。
沖川 美和(Miwa OKIGAWA)
マーケティングリサーチ会社から、飲料メーカーのConsumer Knowledge&Insightsを経て、2015年10月にベネッセコーポレーション入社。「ビジネスリサーチ課(現ビジネスインテリジェンス部)」の立ち上げに関わり、マーケティングリサーチの専門性を通じた事業支援をリーダーとして推進する。
嶋本 雄太(Yuta SHIMAMOTO)
ベネッセコーポレーション入社後、高等学校の課題を解決する学校コンサルティング業務に従事。現在はビジネスインテリジェンス部で高校・大学社会人領域の事業支援を推進する。

撮影:デザインオフィス・キャン(2022年12月取材) ※ご紹介した情報、プロフィールは取材当時のものです。

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