Benesse 「よく生きる」

EPISODE 学びを支えるストーリー 学び・成長を
とことん支える

業界基準への対応の先へ
独自基準を作り続け、安心・安全を守る
商品安全分析専門組織
左:商品・サービス安全管理部 
安全推進課 課長 
池田 俊彦
商品安全管理の専門部門に携わり7年。安全管理の現場を統括している。
右:商品・サービス安全管理部 
安全推進課 <こどもちゃれんじ> 担当 
石井 麻衣子
10年にわたり安全管理を担当。お届けする教材を安心・安全に利用いただけるための事業支援を行う。
安全に関する課題解決を支援する全社横断の専門部門。年間数万件を超える商品の安全を守りながら、お客様にとって魅力ある商品企画の実現の支援、お客様から頂く安全に関するお声に対する原因究明と対策を事業部門とともに取り組んでいる。
こだわりポイント
  • 想定外まで想定する安全基準、お客様の発達段階と活用シーンを組み合わせた商品審査の徹底で、安心・安全を届け続ける
  • 「お客様本位」の安心・安全を実現する方法論は進化させていく
「安心・安全は絶え間がなく、お客様への責任が伴う活動。ドキドキ・ワクワクしながら商品を待っていてくださるお客様の期待を絶対に裏切らない」という強い信念で取り組んでいる商品・サービス安全管理部。業界基準や法令順守の対応の先に、ベネッセ独自基準を設け、全てにおいて安心・安全を提供し、お客様の信頼にお応えしていく活動をご紹介します。

活用いただく家庭環境を考慮したリスクを想定
自社の独自基準を作り続ける

池田
ベネッセの安全基準は、使っていただくお客様だけでなく、家庭の環境も考慮しているのが特徴です。例えば、小さいお子様向け商品でなくても、ご家庭内に小さいお子様がいて、商品に触れたり、なめたり、口に入れたりすることを想定して基準を設けています。ひとたびお客様の元に商品が届けば、それぞれのご家庭の環境、活用されるシーンは様々で、想定外の環境におかれたり、お子様が思いもよらない遊び方や使い方をしたりということが起こります。
お客様からは「子どもが危険な使い方をしてしまったので、他の子もしてしまわないかと心配です」というお声をいただきます。安全なものであるかどうかは科学的に証明できますが、安心はお客様が判断されるものです。そのため、お客様からの安全に関する貴重な声を真摯に受け止め、分析し、ベネッセ自らで必要な基準を作り続けて商品に活かしていくこと。それを一番大切にしています。ベネッセの安全基準は、社内外の最新事例やお客様の声を反映し、2008年以降、毎年必ず更新を続けています。
石井
「進研ゼミ小学講座」でお届けしている栽培キットの栄養ジェルを、「下の子が食べてしまったのですが、大丈夫ですか?」という問い合わせをいただいたことがありました。小さなお子様がご家庭にいらっしゃれば食べてしまうこともあると想定し、食べても大丈夫な素材でお届けしていたため、重大な事故につながりませんでした。お届けしている商品の対象年齢が小学生以上のものであっても、幼児の安全基準でお届けしている点は、ベネッセの安全基準ならではのこだわりです。

お客様の発達段階と活用シーンの想定を組み合わせた商品審査の徹底

池田
安全基準を確実に実行するため、ベネッセでは書類審査→商品審査→量産審査の3段階で安全を守っています。各プロセスで安全確認ができなければ、次のプロセスに進めません。企画検討の段階から材料を考慮した設計をし、企画完成後に書類審査で確認をするステップを基本にすることで、源流から安全を確認しています。
石井
商品審査の過程でもこだわりがあります。担当している<こどもちゃれんじ>では、お子さま向けの玩具を数多くお届けしていますが、特に、3歳未満のお子さまはなんでも口に入れてしまうため、口にくわえたりかじったりしても、とにかく外れたり、ちぎれたりしないかを審査で徹底して確認しています。
代表的なものが、しまじろうパペットです。お子さまがかんだり、かじったりした時に耳が外れてしまうと、誤飲のリスクがあります。そのため、機械でひねったり、「約9kg」の力で引っ張ったりして、ちぎれないかを1つ1つ確認しています。この「約9kg」というのは、小さいお子さま自身で絶対に出せない力だと言われており、業界基準でも定められていますが、縫製品まで対象にして確認しているのはあまり例がないようです。

約9kgの重りで引っ張り、強度を確認

石井
誤飲を防止するための専用器具もあります。小さなおもちゃが口に入った時に、お子さまの気道を塞がないよう、お子さまの気道に見立てた筒状の器具を通ってしまうサイズはお届けしません。ただ、あまり大きくなってしまうとお子さまが握れないため、安全と使いやすさを行ったり来たりさせながら確認をしています。

左:<こどもちゃれんじbaby>でお届けしている玩具「みかんのすべりだい」

右:みかんに見立てたボールを誤飲しないよう、お子さまの気道に見立てた筒状の器具「誤飲チェッカ―」を使い、サイズを確認(出典:日本家族計画協会)

石井
<こどもちゃれんじ>では、組立式の玩具もお届けしています。1つ1つのパーツが小さくないことはもちろんですが、お子さまが玩具の上に倒れ込んだ時に、体にパーツが刺さらないよう、ある一定の力がかかった時にパーツが外れるかといった、実際に活用いただくシーンを想定し、審査を行っています。

「みかんのすべりだい」で差し込んで組み合わせるパーツは一定の力をかけると外れる仕様になっている

石井
ほかにも、1歳ごろのお子さまは、沈んだ玩具を取ろうとして顔が水につかってしまうと、自分で這い上がれず溺れてしまう危険があるため、お風呂で使う知育玩具は必ず浮く素材になっています。また、全ての学齢の教材で使用しているビニール袋は、口・鼻を覆うリスクがあるため、かぶれるか・かぶれないかに関わらず、厚みを持たせ、審査でも規定の厚みになっているかを必ず確認しています。

「お客様本位」は絶対に変わらない
実現する方法論は進化させていく

池田
どんなに環境が変化しても、徹底したお客様目線は変わりません。社内において第三者的立場から、現場・現物、現実を直視し、科学的で説得力のある意思決定を行うプロセスで安全を死守していくべきです。
一方、社内外の環境が変わる中で、一律での商品安全の管理には限界もあると考えています。そのため、2020年より「全社安全管理PDS」という取り組みを開始しています。各事業の特性に応じた安全課題を洗い出し、その課題に対して安全目標を設定し、計画化。実行後に検証をしてもらっています。緊張感ある信頼関係のもとで、多様な商品を多様なお客様に提供する事業と、安全管理の全社横ぐし組織である商品・サービス安全管理部が合同で、安全を目指す体制になっています。安全管理をする上で、企画の段階でいかにリスクを洗い出せるかが肝になるため、そこをしっかり実行できるよう、事業側の商品安全担当と計画を立てています。
石井
商品・サービス安全管理部としては、消費者庁や最新の事例・情報を定期的に集めて社内の発信サイトで情報発信を行っています。また、事業特性に合わせた旬な情報をピックアップして事業の商品安全責任者や事業の全体会での説明、全社Web研修を行い、モノづくりを直接担当していない事業の社員であっても、必要なこととして理解してもらう活動を行っています。

安全に対して絶対にぶれない判断軸を持ち続け、安全・安心を届け続ける

石井
事業を支援しながら、お客様にとって客観的に危ないと判断されるものは、体をはってでも止めます。それだけ影響力が大きい仕事だということを意識して向き合っています。そのため、毎日お客様からいただく声から何か起きてないかをチェックしながら、1つ1つ学びにつなげています。毎日お客様の声に触れ、知見を積み上げ、事業からの相談に活かし、結果的にお客様に良いものを届けていきたいと考えています。日々の地道な活動が専門性につながっています。
池田
安全の砦として、安全に対して絶対にぶれない判断軸を持つことが重要だと考えています。与えられた使命は、お客様に被害を与える可能性は確実に排除し、今もこれからも安全と言い切れる商品を届けること。どうしても譲れないリスクは絶対に事業へ提言する、という強い意思を持たなくてはいけません。そのために、最新の安全基準、世の中の動きを理解した上で、商品を使っていただくお客様の行動を予測して、隠れたリスクも必ず見つけ出すという、想像力、粘り強さ、根気をこれからも大切にしていきます。

令和3年度製品安全対策優良企業表彰(PSアワード 2021)において
ベネッセコーポレーションが「経済産業大臣賞 」を受賞
~パーパス・イズムに基づいた製品安全活動などを評価いただきました~

<製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)について>
製品安全に積極的に取り組んでいる製造事業者、輸入事業者、小売販売事業者、各種団体をそれぞれ企業単位で広く公募し、厳正な審査の上で、「製品安全対策優良企業」として表彰するものです。各企業が扱う製品自体の安全性を評価するのではなく、企業・団体全体の製品安全活動に関する取組について評価します。2007年(平成19年)より開始しています。

撮影:デザインオフィス・キャン

(2021年10月取材)

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