社会との関わりを考える Z世代の多様なウェルビーイング
「ウェルビーイング」というキーワードについて、今、Z世代はどのように感じているのでしょうか。自分自身の考えを深く掘り下げた前編に続き、この記事では社会との関わりを考えた、第1回ワークショップ後半の様子をご紹介します。
思考を広げて、社会との関わりを考える
ステップを踏みながらのグループワーク
2022年9月に実施したこのワークショップでは、まず第1部として「自分自身のウェルビーイング」について考え、グループごとに共有しました。第2部では、社会との関わりをテーマに進めていきます。
このワークショップの企画段階で、自分自身のウェルビーイングから、社会に対して何ができるか、までいきなり思考をジャンプするのは難しいだろうと考えていました。そこで、ワークショップではいくつかのステップを提示しながら、ワークを進めていくことにしました。
ステップ1) ステップ2) ステップ3) ステップ4) ステップを紹介しつつ、大学生のメンターも入ってサポートをしながら対話を進めていきます。理想的なウェルビーイングとのギャップは?との問いに、「やらされ仕事をしている社会人は、ウェルビーイングとのギャップが大きいのではないか?」といった意見もでました。でも、未体験の社会人を想像するより、自分たちの日頃の実感から考える方向にシフトした方が、スムーズに考えられたようです。あるグループの対話の一部をご紹介します。
第2部では、難度の高いテーマであることから、オンライン参加者はオンライン参加者のみのグループに。リアルはリアルのみのグループにすることで、コミュニケーションしやすい環境をつくりました。対話を重ね、グループの意見をまとめていくには、やはり環境がそろっている方が話しやすいようです。
各チームとも、煮詰まったり、脱線したり、「モヤモヤする~」という声があちこちから聞こえましたが、約1時間のディスカッションを終えグループごとの発表を行いました。社会全体をウェルビーイングにするためのアイデアは、どのようにまとまったのでしょうか。
時間内にまとめられなかったグループも、「何にもやもやしたのか」「どんな対話があったのか」を共有し、第2部を終了しました。
第1部、第2部では、できるだけ「自分の言葉でアウトプットする時間」としました。最後のセッションとなる第3部では、「ここまでとは違う観点からのインプット」を行ってみました。
それは、「障がいを持つ人が、働く喜びを感じられるように」と株式会社ベネッセソシアスという会社を立ち上げた、山口元氏の講演です。
重い障がいを持つ方が、継続的に働くことが難しいという社会課題に対し、「せめて自分の手の届く範囲はなんとかしたい」と考え、様々な人の協力を得て新会社を設立。障がいを持つ人が長く働けて、「ありがとう」という言葉が飛び交う職場をつくろうと、今も模索を続けている社会人のお話です。そこから何を感じたのでしょうか?
話は尽きず、約4時間半に渡ったワークショップは以上で終了。最後に、「ベネッセ ウェルビーイングLab」所長の岡田晴奈から、Z世代の皆さんにメッセージが送られました。
「ウェルビーイングには正解があるわけではありません。一人ひとりがウェルビーイングを感じる瞬間も違うことでしょう。こうした場で対話し心に火がついたら、その情熱の炎で周りの人を巻き込むことで、それが世の中を動かしていくかもしれません。ウェルビーイングについて、考え続けていって欲しいと思います。」
最後になりましたが、ワークショップにご参加いただいたZ世代の皆さまに心より感謝を申し上げます。テーマ2(第2部)
社会全体をウェルビーイングにするために、自分たちにどんなことができる?
ここまでに考えた、「私にとってのウェルビーイング」をグループで共有しよう
メンバーの考えをシェアした上で、グループごとに、「社会全体がウェルビーイングな状態(理想)」を1つの言葉にしてみよう※例えば、“違い”が尊重されている状態、みんなに選択肢がある状態、など
理想と現実、一番のギャップは何かを考えてみよう
※誰の、何が課題なんだろう?
そのギャップを埋めるために、自分たちにできるアイデアを出してみよう自分の考えの外側にあることに気づく体験を
あらためて、ウェルビーイングとは何なのでしょう?これからも、様々な形で問い続けていきたいと思います。
文:「ベネッセ ウエルビーイングLab」研究員:I