ワークショップレポート 2024-07-10

自治体ワークショップ。
ウェルビーイングを起点に町を見つめ直す。

ウェルビーイングへの関心の高まりを背景に、日本全国の自治体でも幸せな地域社会の構築を目指す動きが活発化しています。ベネッセ ウェルビーイングLabは、様々な企業とウェルビーイングについての意見や情報の交換をしていますが、この度、データ分析やAI技術を軸にウェルビーイングなまちづくりを推進しているNEC様との対話から、神奈川県中井町の町役場のかたとのワークショップを一緒に開催することとなりました。ベネッセ ウェルビーイングLabにとって初めての自治体でのワークショップのご報告です。

INDEX

「ウェルビーイングを軸に町づくりを」 町長の思いから生まれたワークショップ

神奈川県中井町は、都心から車で1時間ほどのところにある人口約9000人の町です。丹沢山地や富士山、相模湾を望む自然豊かな里山の魅力と、東名高速道路のインターチェンジに近いなど便利で快適な都市的な生活をあわせ持つことから、町の人は中井町を 「里都(さと)まち」 と表現します。

そんな町のこれからを、経済指標だけでなく、「ウェルビーイング」 を重視したアプローチをとりたい、との思いを持つのが戸村町長です。
政策を考えていくにあたり、まずは町役場の職員の皆様で 「ウェルビーイング」 を知り、考えてみよう、という意図で今回のワークショップの開催が決まったそうです。

のどかな風景の中、バスに揺られて中井町役場に到着。準備が整った頃に、参加者の皆様が続々と集まってくださいました。

まずは戸村町長のお話からスタートです。中井町のこれからを 「ウェルビーイング」 を軸に考えていきたいという思いを、豊かさから幸せに注目が集まる歴史的な背景や世界の動向も含めて語られました。
続いて、ベネッセ ウェルビーイングLabの泉より、ウェルビーイングの概念や世の中の動き、近年注目されている理由などの情報が共有されました。
さらにNECの千葉氏からは、デジタル庁が推進するデジタル田園都市国家構想において、「心豊かな暮らし」(Well-Being)と 「持続可能な環境・社会・経済」(Sustainability)の実現が目指されていることや、地域行政にウェルビーイングの考え方が取り入れられている背景、他自治体の取り組み事例などが示されました。

プレゼンテーションの後、5~6人ずつ、6チームに分かれてのワークショップが始まりました。
「自分にとってのウェルビーイング」、そして 「中井町のいいところ」 を考え対話するワークをし、最後に改めて、自分と中井町にとってのウェルビーイングを関連付けて考え共有し合う、という流れです。

当日のワークショップの流れ

自分にとってのウェルビーイングと、町のいいところをつなげて考える

まずは、「私にとってのウェルビーイングとは?」 を考えます。
「けっこう難しいなあ。つまり、幸せだなあって感じるときのことかな?」 ご自身の腑に落ちる言葉に言い換えたりしながら、書き出していきます。

オフタイムで感じる幸せや、仕事にもつながるような共感、達成感などについての意見が出されました。

次は、「中井町のいいところ、ウェルビーイングな暮らしとは?」。こちらは先ほどよりもスムーズに書き出されている印象を受けました。

自然豊かで住みやすいなど、読むだけで、中井町って良いところなのだなぁとわかる声がたくさん集まります。

■ 皆さんから出た 「私にとってのウェルビーイング」 一例
  • 新しいことをやる計画を立てずに旅行に行って思いのままに過ごす
  • 釣りやオンラインゲームに夢中になっているとき
  • うまい酒うまい飯食前のビール
  • 自分と散歩をして満足そうな犬を見たとき優しい奥さんと過ごすとき
  • 人と一緒に何かをするとき考えを認められるとき共感を得るとき
  • ミッションを1つやり遂げたときテニスの試合で勝ったとき仕事で感謝されたとき
■ 皆さんから出た 「中井町のいいところ」 一例
  • 自然豊か大きな公園があり子どもが安全に遊ぶことができるでーんと富士山が見える
  • 新鮮な野菜が手に入る水がおいしい
  • のどかで住みやすい静かでやりたいことに集中できる
  • 人口が程よく少なくごちゃごちゃしていない並ばない図書館で新刊を借りやすい
  • 車さえあればどこへでも行ける道がすいている小田急もJRも選べる
  • 気候が温暖、夏は涼しい災害や犯罪が少ない

最後は、「私にとって、中井町にとって、ウェルビーイングって何だろう?」。これまでの対話をふまえ、改めて、中井町のいいところ、自分のウェルビーイングをつなげて考えてみたところ、このような意見が出ました。

グループごとに意見を共有した後、最後は立ち上がり、違うチームの人とも考えたことを交換。ワイワイと盛り上がりました。

新しい町づくりにむけて

今回のワークショップは、本格的な政策検討に入る前に 「ウェルビーイング」 の理解を深め、自分ごととして考えてみる機会でした。

事後アンケートには、具体的な政策策定につなげていく難しさを感じる一方で、ウェルビーイングの理解が進んだ、スタートの気運が高まったなどの声が寄せられました。

今後の検討に向けてこのワークショップが何かしらのヒントや一助となればと思います。すでにたくさんの魅力がある中井町が、その魅力を活かして中井町らしいウェルビーイングな町に進化されていくことが楽しみです。

ワークショップを終えて、中井町役場のみなさま、NEC様と。

Labとしては今後さらに、多様な方々と対話の場をもち、ウェルビーイングな社会づくりのための活動を続けていきます。